こんにちは、Angler Ogiです。
秋も深まり、いよいよトンボ達も本格的な秋シーズンに突入!まだまだ観察したい種が多数います。
今回の記事は、10月9日、以前から中々機会が無かったカトリヤンマの産卵観察を行うため、姫路市の定点ポイント(黄昏飛翔観察ポイント)を訪れた際の様子です。
到着早々、ナツアカネ多数!
現地に入ったのは15時10分頃。
今回訪れた姫路市の定点は、先月頭に多数のカトリヤンマを観察できた場所です。
以前は小野市まで観察に訪れていたカトリヤンマですが、今年からはこの場所で観察できるというのが非常に嬉しいところ・
カトリヤンマは、稲刈り後の田圃の畔等に(日が傾く前に)産卵するという生態なので、丁度その時間を狙っての観察です。
車を降りると早速、
真っ赤に成熟したナツアカネが出迎えてくれました!
ナツアカネをはじめとしたアカネ属は、午前中は活発に活動し、午後はあまり姿を見せなくなるもの。
しかしこのポイントは、小規模湿地・ため池・田圃が山に囲まれた形になっているので、寝床(山)がすぐ近くにある=午後でも多数見られたのかもしれません。
成熟したリスアカネ雄もあちこちに見られ、カトリヤンマが登場するまではアカネ属を堪能できそうです。
山裾にある田圃の畦道を歩いてみると、ナツアカネが多数静止していました。
そんなナツアカネ達に混ざり、
池で発生したであろうキトンボが1頭に、
コノシメトンボ雌も発見!もし午前中に来ていたなら、想像以上にアカネ属が多い場所なのかもしれません。
↓アカネ属についてはこちら↓
この場所以外でも、林縁には・・・
あちこちにナツアカネの雌が静止していました。
ナツアカネはとにかく沢山見られるので、全く飽きることがありません。
それだけでなく、ふと見上げた樹上には・・・
なんとアキアカネも静止しているではありませんか!
兵庫県南西部でも数が減ってきているアキアカネ、まさかこの場所で見られるとは思っていなかったため、テンションが上がります!
↓ナツアカネとアキアカネの違いについてはこちら↓
しかし、今日の本命はあくまでカトリヤンマ。あまり時間を取りすぎていると、その間に産卵終了、なんて事になりかねません。
田圃の上にはカトリヤンマは飛んでいないようなので、以前多数の個体を確認した小規模湿地へ行ってみることにしました。
カトリヤンマの産卵タイム突入!
先月大雨の後に訪れた際は、
このように完全水没してしまっていた湿地。この日は、
以前のような乾湿地に戻っており、一安心です。
この雰囲気なら、初夏にサラサヤンマ、夏場にヤブヤンマが産卵に来ていてもおかしくないなーと思いつつ、目を凝らしながらカトリヤンマを探してみると・・・草むらからカサカサという音が。
湿地内に入ってさらに目を凝らすと・・・!
いました、カトリヤンマの雌です!!湿地の縁、草むらのなかにある朽木に産卵しているようです。
しかしこの個体、すぐに飛び上がって別の場所に移動してしまいます。
その上、日が急激に陰ってきたためにかなり見辛いので、
ストロボを焚いて撮影!黄緑色の胸部に水色の複眼が素晴らしい色合いをしています。
が。この個体、もう産卵終了の時間だったのか、この1枚を機に飛び上がったかと思うと、すぐ近くを飛んでいた羽虫を捕獲して・・・
湿地脇の木の上に静止してしまいました。(苦笑)
しばらく降りてくるのを待ってみたのですが、お食事が終わった後も降りてくる気配はありません。どうやらこの個体は産卵終了のようです。
仕方なく、一度湿地から出ようかと、ふと足元を見てみると・・・
足元は獣の足跡だらけ。
あまりにボコボコになっているため、もはやイノシシなのかシカの足跡なのか判りません。
以前この脇の田圃を管理しておられた方に話を聞いたところ、どうも毎年イノシシが出ている場所らしいので(過去に私も一度だけ遭遇)、観察の際は気を付けないといけませんね・・・。
気を取り直して湿地から出ようとしたところ、目の前を横切ったトンボが、湿地上の木に静止するのが見えました!
こちらも正体はカトリヤンマ。
やはりこの場所はカトリヤンマの多産地になっているようで、この様子なら被写体に困ることも無さそうです。
本格的に産卵タイムに突入!
上写真の個体が降りてくるかもしれないので、湿地から出ずに待っていると・・・別の個体が低空飛行して湿地に入ってきました。
そしてホバリングをして産卵場所を物色したかと思うと、
すぐ近くに降り立って産卵開始です!
7年ほど前に小野市で観察した際は、稲刈り前の田圃の中に入って産卵していたために撮影できなかったのですが、今回はなんとか撮影できそうです。
この個体は1回ごとの産卵スパンが非常に短く、10秒もしないうちに、次から次へと産卵場所を変えていきます。
ひょっとしてストロボに警戒しているのかなと思い、撮影せずに様子を見てみましたが、特に関係ありませんでした。
なので、特に気にせず追いかけてみることにします。
結局この個体が散乱していた時間は、僅か5分程度。
ヤブヤンマあたりは30分~1時間程度じっくり産卵するので撮影が簡単ですが、カトリヤンマの産卵は手早く撮影しないといけないようですね。
ともあれ、それなりに撮影を楽しめたので、湿地を出ようとふと頭上を見上げると、
先ほど確認した個体は、まだ同じ場所に静止していました。
よく見ると腹部の先端に土がついているので、別の場所で産卵後、この場所に休止に来たのかもしれません。
この場所を切り上げることにし、車を停めた場所に戻ってみると・・・
まだナツアカネは多数静止していました。時間帯を変えて観察に訪れたいところです。
次のポイント、やはりいないコバネアオイトトンボ。
カトリヤンマとナツアカネに満足したのでこの場所を離れ、今度は加西市にある定点池の方に足を延ばしてみることにしました。
時間的にアカネ属は厳しいと思いつつも、池の水がきちんと落ちているのか、環境が変わっていないか等を確認しておき、後日午前中に訪れてみようという算段です。
時間的にはどう考えても厳しい時間に到着しましたが、
池はしっかり水を落としていて、かつ昨年までと同じように、見事に湿地上になっていました。
この様子なら、今年もオオキトンボやタイリクアカネ、コノシメトンボ等が期待できそうです。
池の畦道を歩いてみると・・・
凄まじい数のアオイトトンボが群れていました。
軽く網を振れば7~8頭が網に入ってくるレベルで、最早大発生していると言っても過言ではありません。
これほどアオイトトンボが発生していると、コバネアオイトトンボと種間競合とかは大丈夫か?と心配になります。
試しに、コバネアオイトが見られるゾーンに行ってみたのですが・・・。
どこを見てもアオイトトンボだらけ。
とりあえず目視だけではなく、主観的に、
- 翅が短く見える(ような)個体
- あまり白粉を拭いていない(ような)個体
- なんとなく雰囲気が違う(ように見える)個体
- ちょっと外れた場所にいる個体
この辺りを狙って捕獲→確認→リリースを繰り返していきますが、どれも全てアオイトトンボ。
見た目上はコバネアオイトトンボが多産していた時となんら変化はないのですが、あまりの事実に愕然とします。
やはり絶滅危惧Ⅰ類の超貴重種なので、なんらかの原因で姿を消してしまったのかもしれません・・・。
訪れた時間が夕方だったために、時間帯が悪かったんだと言い聞かせつつ、後日午前中に再訪してみようかと思います。
その他、林縁を歩いてみたものの、リスアカネ・マユタテアカネがちらほら見えた程度だったため、これにて終了としました。
10月30日、ついにコバネアオイトトンボを確認できました!詳しくはこちらの記事に書いています。↓
纏め
2時間ちょっとの捜索でしたが、タイミングよくカトリヤンマの産卵に遭遇することができた上、大好きなナツアカネも堪能できたので、中々良い捜索となりました。
ただコバネアオイトトンボの件は非常に気になりますし、その他貴重なアカネ属(マイコアカネなど)の今年の動向も気になるところ。
また時間を作って、午前中に捜索した模様をアップできればと思います!!
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