ヤブヤンマの生態や観察方法をご紹介!

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こんにちは、Angler Ogiです。

今年は冷夏という数カ月前の予想は見事に裏切られ、とても暑い日が続いています。

気温が高い年はヤンマ科のトンボを目にする機会がとても多い為、今回は私のお気に入りであるヤブヤンマをピックアップしてみようと思います。

何故ヤブヤンマなのか?といいますと。

  • 5月下旬から羽化が始まり、7~8月が最盛期!今がピークです。
  • 産卵は日中に行われるため、運が良ければごく普通の場所でも観察が可能
  • 普通種のため、少し山の方の池に行けば案外簡単に観察・捕獲ができる。
  • 雄が美しいのは勿論、雌は成熟度合いによって複眼の色が変化。
  • は捕獲する時間帯によって、複眼の色合いが変化

いかがでしょう、実に魅力的な種ではないでしょうか。

お子様がおられるご家庭で、夏休みに昆虫観察をされるということでしたら、是非一度狙ってみて頂きたい種です。

運よく観察ポイントを見つけることが出来たら、(ライバルが少ないことが予想されるため)自由研究の題材としても面白いのではないかと思います。

トンボ家として約10年活動している私の、ヤブヤンマに対する個人的見解を、情熱の限り語りつくしてみたいと思います!

↓今回の記事はこんな内容です!↓

  • ヤブヤンマの生態と、 雄と雌を個別に詳しく解説!
  • 狙うべき場所、 捕獲する際のポイント等を考察!
  • 産卵の様子や、羽化の様子もご紹介!
  • 夏休みの自由研究のテーマにいかがでしょうか?

ヤブヤンマってどんなトンボ?

ヤブヤンマ雄静止。

ヤブヤンマは、本州以南に生息するヤンマ科のトンボです(北海道にはいないようです)。

体長は79mm~93mmで、トンボとしてはかなり大型なサイズ。

ヤブヤンマの若い雌の背面写真。かなり大きい。

ヤブヤンマのヤブというのは「藪」という字が用いられますが、これは藪(林の中や山中等)でよく見かけるところからきていると考えられます。

ただ、時間帯や時期によってメインの活動場所が変わるトンボなので、生態をしっかり理解しておくと、比較的簡単に見つけられるトンボでもあります。

季節的には5月下旬から羽化を開始し、水域では6月半ばごろから見かけるようになります。

勿論藪が近くにある環境を好むというのが前提ですが、大型の池や沼、湿地の他、林が隣接する川の上などもよく飛翔しています。

7月からは特に活発に活動し、雌は日中に産卵(後述)。その雌を探しに、雄は藪の中や沼地などを飛んでは静止、という行動を繰り返します。

また、7月の晴れた日の日中に、海沿いの道や山中の道路上を雄が悠然と飛翔する姿も目撃できます。

7月頭、徳島遠征時に見かけたヤブヤンマ雄。
海に面した山中の道なら、案外簡単に見つかることも。

ヤブヤンマの黄昏飛翔性

ヤブヤンマは黄昏飛翔性が非常に強く、雌雄共に黄昏時に多く見かけます(勿論早朝も飛びます)。

他の黄昏飛翔性がある種よりもやや早い時間帯(8月であれば17時半頃)から上空を飛び出し、しばしば上空を飛ぶ雌を、雄が下から突き上げるように飛ぶといった光景が見られます。

黄昏飛翔時の雄。

黄昏飛翔時の飛び方として、後翅をバタつかせて飛んだり、(上写真のように)後翅をやや後方に突き出すようにして飛ぶため、慣れると飛び方だけでもヤブヤンマを判別することが出来ます

真夏の晴れた日、夕方に池や田圃の上をよく飛んでいるので、捕獲するならこの時が一番のチャンスタイムとなります。

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ヤブヤンマの雄

雄の腹部は黒味が強くて細めのシルエットの為、スラッとした印象があります。

岡山にて撮影した雄。山中の林の中休止していた。

複眼は濃いブルー。ストロボを焚いて撮影すると、上写真のように透き通ったマリンブルーのように輝き、とても素晴らしい色合いを見せてくれます。

生殖器の部分も濃い青色になっており、胸部は黄色と黒のカラーリング。メリハリがあり、とてもいいバランスです(下写真参照)。

翅は基本的に透明で、かなりの老熟個体になれば少し褐色になる、といった具合でしょうか。

時間帯による雄の複眼の色合い変化

ヤブヤンマ雄の面白い所として、観察する時間帯により、複眼の色の濃さが変化することが挙げられます。

こちらが昼間に捕獲した雄。見事なまでのマリンブルーで、額まで真っ青に染まっています。

岡山で捕獲、撮影した個体。

こちらが黄昏時(19時前)の薄暗い時間帯に捕獲した、若い雄のやらせ写真です。

ご覧の通り、複眼の色がかなり濃い藍色に変化しているのがお分かりいただけますでしょうか。

勿論この個体だけでなく、

加東市で捕獲、撮影した個体。

別の場所で捕獲した個体もこの通り。

上写真はどちらも若い個体ですが、老熟個体でも同様に、時間帯による複眼の変化が見られました。

図鑑などにはこのような記述はありませんが、我々トンボ家の間では比較的よく知られた内容となっており、私はこちらを「ナイトモード」と(勝手に)呼んでいます。(笑)

暗い時間帯は、複眼の色が濃くなった方が良く見えるのかもしれません・・・(定かではありません)。

ヤブヤンマの雌

昨年の夏、川の上を飛翔していた雌。

一方、雌は黒色よりもやや黄色味が目立つカラーリングで、腹部はガッシリしています。

黄昏飛翔時のヤブヤンマ雌。

横から見ると腹部の先端が上写真のように大きく膨らんで見える為、黄昏飛翔時のシルエットもかなり特徴的です。

若いうちは透明な翅の個体もよく見かけますが、老熟の雌の翅はこのようにかなり濃い褐色の翅に。

成熟度合いによる雌の複眼の色合い変化

雄は時間帯によって複眼の色合いが変化しますが(雌も少しだけ変化するようです)、雌の場合は、成熟度合いによる色合いの変化がより顕著に表れます。

こちらは若いヤブヤンマ雌。ご覧の通り、複眼の色合いはやや緑がかった印象で、翅は透明です。

一方、こちらが壮年期に入ったと思われる雌。翅は濃い褐色となり、複眼の色合いは明確に青っぽくなっています。

親友Takaによる写真提供。左が若い個体、右が壮年期の個体。

若い雌と壮年期の雌を捕獲して比較してみるとこの通り。

未成熟状態から複眼が色づいていくトンボは多くいますが、成熟後にこれだけの色合い変化を見せてくれるのは、ヤブヤンマの大きな特徴ではないでしょうか。

Ogi
Ogi

この成熟による色合い変化に関しては、まだトンボ家を始めたばかりの頃、神戸のトンボのA先生に教えて頂きました。

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ヤブヤンマの産卵活動

ヤブヤンマは真夏の日中11時~14時頃に活発に産卵にやってきます。

産卵場所は主に、池や沼の縁。泥状にぬかるんだ場所やコケの中、朽ちた木など様々です。

時に、人の廃棄物に出来た水溜まりや、溝の落ち込み部などにも産卵しているところを見かける為、適応環境は比較的広めなようです。

薄暗いと擬態色になる驚き。

こちらが産卵にやってきた雌。湿地脇の全く水が無い場所を飛び回り、気に入った場所があると降りたって産卵を開始します。

ヤゴは水場で採集できる事が多いため、トンボの産卵場所=水場、というイメージが強いかと思うのですが、意外にも水が無い場所で産卵するトンボは多いのです。

別個体。こちらもやはり泥の上で産卵。

産卵に必死になっている雌は、意外と警戒心も薄いようで、

親友の足元で産卵。

このように足元までやってくることもしばしば。

傾斜等も関係なく産卵。

また、少し程度日光が当たっていても、地面の状態が良ければ特に問題ないようです。

こんな場所でだって産卵できる!ヤゴが生き残れるかどうかは別として超タフ。

このような産卵中の雌を狙って、産卵場所となる地面の上にせり出た木には・・・

このように雄がやってきてぶら下がっています。

見事に擬態色となり発見しづらいですが、ぶら下がっているのは・・・

この場所です。

ズームアップ。

このような、産卵活動中の休止個体を探すのもヤブヤンマ観察の面白いところ。

必ず沼地に背中を向けているのですが(最も視野が広いのは背中側になる為)、その割には雌を発見するのがヘタなように思います。(苦笑)

こういった場所に来るものは全て雌だと思い込んでいるのか、

貴重なカット。マルタンヤンマ雄とヤブヤンマ雄の異種間連結。

時折、このような異種間連結も見られます。観察することが出来たら超ラッキーかもしれません!

ヤブヤンマの羽化

ヤブヤンマは活動期間が比較的長めのトンボなので( 5カ月程度)、もしヤゴを捕獲することが出来れば羽化観察もオススメです。

ヤゴを捕獲しやすい場所は、樹林に隣接した側溝や、沼地の縁など。

落ち葉や土が堆積していれば、大抵ヤゴが流れ着いています。

羽化直前のヤゴはこのように体の中が透けており、翅芽(しが)の中の翅脈(しみゃく)も透けています。

羽化は大抵真夜中~早朝にかけて行われるので、上写真のような兆しが見えたら、その日の夜中に羽化する可能性が高まります。

背中側が割れているこの状態を裂開期と呼んでいる。

この時は深夜1時20分頃に羽化が始まりました。そして、

背中が裂開した後、左から右へ。

あっという間にこの状態に。

この状態でしばし休止しますが、このような羽化の形態を倒垂型と呼びます。

Ogi
Ogi

ヤンマ科のトンボ達はこのように倒垂型の羽化を行いますが、実はクマゼミ等も同じ羽化形態をとります。

この時は20分ほど静止していました。

唐突に反り戻ったかと思うと、そのまま一息に腹部までを殻から抜き去ります。

見ていて判るレベルで翅は伸長していき、それに合わせて腹部も若干反っているのが判ります。

40分ほどで翅は綺麗に伸び切り、

腹部の伸長が始まります。この間、腹部をゆらゆらと動かしていました。

腹部を伸ばすのにかかった時間はおよそ1時間40分。

この時の記録によると、この時点で時刻は午前4時を回っていたようです。

翅を開いたこの瞬間、ヤブヤンマの誕生です!

背面から見るとこんな感じに。

複眼はまだまだ濁っており、この状態だとまだほとんど飛べません。

こちらは別個体。

先ほどの個体の1日前に羽化していたのですが、羽化場所から飛び立った後、丸1日全く動いていなかったのです。

おそらく自然界では、羽化場所から林の中に懸命に飛び去り、そこで丸1日程度体や翅を乾かしているものと考えられます。

また、こういった羽化直後の状態の事をテネラルと表します(神戸のトンボ様参照)。

ヤゴからトンボに変化するこのひと時は本当に感動ものなので、ヤゴを捕獲することが出来たら、是非一度観察してみてくださいね。

Ogi
Ogi

この子たちはこの後、無事に我が家から巣立っていきました!羽化観察の後は、自然界に返してあげてくださいね!

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

私の大好きなトンボであるヤブヤンマについて、個人的考察を交えながら詳しく書いてみました。

先日公開したマルタンヤンマとギンヤンマの特集を多くの方に見て頂けているようなので、今後もどんどんこういった記事を公開していきます!!

お楽しみに!!

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