カトリヤンマの生態や観察方法をご紹介!

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こんにちは、Angler Ogiです。

今年のトンボシーズンも、残すところあとわずか。今はアカネ属のベストシーズンであり、大型のトンボはほぼ姿を消しつつあります。

今回の記事では、そんな寒さの迫るこの時期でも観察できるヤンマ科カトリヤンマについて、詳しく書いていこうと思います!

カトリヤンマをピックアップした理由はこちら。↓

  • 7月下旬から羽化が始まり、近畿地方では11月半ば頃まで観察が可能!
  • 産卵は午後に行われるため、朝に観察するアカネ属と時間が被りません!
  • 稲刈り後の田圃だけでなく、池の縁や林縁にある小湿地など、探せば意外と見つかります。
  • 複眼も体の色も鮮やかで、非常に美しいトンボです。

比較的寿命が長めのトンボなので、この時期でもまだ観察できるというのは非常に嬉しいところ。

タイミングがあえば飛翔している雄や産卵している雌と出会えるので、是非フィールドで探してみましょう!

トンボ家として約10年活動している私の、カトリヤンマに対する個人的見解を、情熱の限り語りつくしてみたいと思います!

↓今回の記事はこんな内容です!↓

  • カトリヤンマの生態を詳しく解説!
  • 狙うべき場所、 観察する際のポイント等を考察!
  • 産卵の様子や、雄の探雌飛翔(ホバリング)の様子もご紹介!

カトリヤンマってどんなトンボ?

カトリヤンマは、本州以南に棲息するヤンマ科のトンボ。北海道では、過去に数例の記録があるだけで、棲息していないと思われます。

また、近年は個体数が減少しており、あちこちでレッドデータ指定が入っている希少種でもあります。東北~北陸地方では、既に絶滅してしまったとの情報も・・・。

Ogi
Ogi

私の住む兵庫県でもCランク(準絶滅危惧種)に指定されてしまいました。確かに産地は局所的なので、今後も確認できる場所を増やしていきたいところです。

体長は66mm~77mmで、トンボとしては中型。ヤンマ科の中ではやや小ぶり。

カトリヤンマのカトリというのは「蚊捕り」という字が用いられますが、これは夏場の早朝・黄昏時や秋口の午後、盛んに羽虫を捕獲して摂食している為だと考えられます。

羽虫を捕らえて食事中の雌。産卵場所のすぐ近くによく休止している。

成虫を観察できる期間が比較的長めのため、季節によって狙う時間帯やポイントを変更すれば、出会える確率がグっと上がります。

羽化が始まる季節は7月下旬頃。

その後8月に入るとあちこちで見かけるようになるのですが、その場所は(比較的活動範囲が広いため)林道や湿地、水路の上、山中の木々の間、田圃近くと、バラバラ。

ただ、繁殖の季節である9月下旬~10月のポイントは産卵場所周辺に絞られるので、ポイントは絞りやすくなります。

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カトリヤンマの生息環境

元々成虫が好む環境は、樹林が隣接する田圃・湿地・池や沼。先述した「あちこちで見られる」というのは、こういったポイントの周辺であることがほとんど。

そのため、もし8月頃に単発でカトリヤンマを発見できれば、その周辺に産地がある、と逆算することも可能だったりします。

2019年9月の状態。

こちらは、私の定点観察地。姫路市のとある山中にある、乾湿地です。

元々数年前まではガマ他抽水植物が繁茂する小さな池だったのですが、2~3年ほど前から水が溜まらなくなり、乾湿地化したのです。

とはいえ元々は水はけが悪かった為に池状になった場所のようですし、溜池や田圃がすぐ近く(道を挟んで反対側)にあるという事も相まって、

同じく2019年9月。

1日土砂降りになった翌日にはこの状態に・・・。

逆にこれだけの環境変化が起こる状況でも、雄雌問わず多数のカトリヤンマがよく見られることに驚きを隠せません。

2019年10月末はこの状態だった。

また、夏場に成虫が静止(休止)する場所はというと、

林縁にあるこのような場所。

このすぐ近くはサラサヤンマやエゾトンボが飛び交う乾湿地となっており、奥にはオニヤンマやエゾトンボが産卵する水場があります。

また、この林の外に広がる田圃ではカトリヤンマの雌の産卵を確認していたり、黄昏時にはそのすぐ脇の水路上を摂食飛翔しているところも見かけています。

つまり、こういったカトリヤンマの繁殖活動・摂食活動が確認できる場所のすぐ近くに休止場所があるのです。

また、未成熟個体が静止する場所は比較的決まっているようで、1頭見つかるとその周囲に何頭もいる、といった事も珍しくありません。

この辺はマルタンヤンマと違って圧倒的に探しやすいと言えます。

こんな感じで休止している。上写真とは別産地(加東市)。2012年8月12日撮影。
写真中央付近にいるのがお判りいただけるだろうか。
上写真とは別個体、同じ場所。時刻は昼過ぎ。

また、カトリヤンマが見られるのは、意外にも池の周囲だったりという事もありえます。

こちらはナニワトンボやキトンボ、ネキトンボといったアカネ属が多く生息する池。

秋シーズンにこのように池の水を抜くのですが、樹林に囲まれた環境の為、当然地面は湿地化(沼地化)しています。

どうやらこういった環境も、カトリヤンマが好む状態になっているようです。

この場所で盛んにホバリングしていた。

未成熟個体は色合いが独特

雄も雌も鮮やかな浅葱色の胸部になるカトリヤンマですが、未成熟個体の胸部は驚くことに黄褐色。お世辞にも綺麗な色合いとは言えません。

こちらは2013年8月10日に捕獲した未成熟個体。成虫とは全く違う色合いをしています。

複眼の色合いもこの通り。

透き通るような鮮やかな水色ではなく、やや濁った苔のような色合い・・・この色合いが、

2012年8月12日に捕獲した雄。
こちらも2012年8月12日に捕獲した雌。

このように徐々に色づいていき、

2012年8月25日に捕獲した雄。

このような鮮やかな色合いに変化するのです。

多くのトンボと同じく雌性先熟(雌の方が先に成熟)のため、同じ日に捕獲した雄雌を比べると、雌の方が先に色づいているのが判ります。

9月の二週目に入る頃には水域でも見られるようになり、完全に成熟した色合いが見られます。

2019年9月10日に捕獲した雄。
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カトリヤンマの黄昏飛翔性

カトリヤンマには黄昏飛翔性がありますが、ヤブヤンママルタンヤンマといった種と比べると、その飛び方は独特。

周囲が薄暗くなるころから飛び始める上記二種と比べると明らかに遅い時間から飛び始め、目視がほぼできない時間帯(8月の19時過ぎ~20時前)であっても飛び続けるのです。

そのため、この時期に捕獲や撮影を狙うのは本当に困難なので、飛翔している場所を見つけたら、秋にその場所を再訪することをオススメします。

成熟した雄(左)と雌(右)。2019年9月10日の18時半過ぎに捕獲。

カトリヤンマの産卵活動

カトリヤンマは秋の午後14時~16時頃に活発に産卵にやってきます。

産卵場所は先ほども登場した、池や沼の縁、田圃の畔など。泥状にぬかるんだ場所やコケの中(間)、落ち葉、朽ちた木などを好みます。

木々の間でひっそりと産卵する雌。

こちらが産卵にやってきた雌。ヤブヤンマやサラサヤンマ等と同じく、全く水が無い場所を飛び回り、気に入った場所があると降りたって産卵を開始します。

この個体は、2013年10月末に相生市の池脇で撮影。

産卵中は比較的敏感な個体が多く、少し近づくとパっと飛び立ってしまうため、産卵中は邪魔にならないよう静かに近寄ることをオススメします。

姫路市の定点で朽ち木に産卵する雌。

産卵する場所をコロコロと変えつつ、10分ほどで終了。その後、すぐ近くにある木に静止して休憩していることが多いように思います。

産卵後に摂食、休止している雌。

一方雄はというと、雌が産卵に来る少し前の時間帯に、産卵場所周辺でホバリングを交えつつ縄張り飛翔をしているところを観察することが出来ます。

かなり狭い範囲をテリトリーとするようで、雌がやってこないか注意深く観察しつつ、ホバリングしているようです。

ホバリング中は、ストロボの光に驚く個体もいれば、上写真の個体の様になんともない個体もいますので、撮影する時はその子に合わせてあげてくださいね。

この時のベストショット。SS:1/160、F値:7.1、ISO:500、180mmズームで撮影。

また、このようにホバリングしている最中でも、羽虫が辺りを飛んでいれば捕獲して近くの木に休止。

この辺りは、縄張りを丹念に飛び回った後に見張りまで行うサラサヤンマとは随分違うようですね。

Ogi
Ogi

カトリのホバリング姿を見たい場合は、10月以降の昼頃、産卵場所を訪れてみるのが確実かと思います。私は10月末の13時過ぎに確認しました。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

私の大好きなトンボであるカトリヤンマについて、個人的考察を交えながら詳しく書いてみました。

これで今シーズンに公開したヤンマ科の特集記事は。(名前をクリックすると各特集ページに飛びます)

以上、6種類となりました。

まだ少しの間トンボシーズン2019は続くため、シーズンオフの間に、特集記事の更なる充実化を図る予定です。

Ogi
Ogi

手もとにサラサヤンマ・アオヤンマ・クロスジギンヤンマの写真があるので、こちらを今シーズンオフ中に。コシボソヤンマ(飛翔写真)、ネアカヨシヤンマ(産卵写真)、ミルンヤンマ(産卵写真)辺りは、来シーズンしっかり観察を行う予定です!

その他、個人的に好きなヤンマ科以外のトンボ達も特集を組んでいく予定なので、乞うご期待!

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