ロック式エレキの弦交換方法を解説!フロイド・ローズ搭載でも怖くない!

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こんにちは、ギター講師のAngler Ogiです。

3月に公開したアコギの弦交換の記事が、おかげさまで多くの方にご覧頂いています!ありがとうございます。

そこで今回は、弦交換シリーズ第二弾。

ロック式トレモロユニット(フロイドローズ含む)を搭載したエレキギターの弦交換について、詳しく見ていこうと思います!

弦交換というのは、綺麗に巻けないなんて事は最早普通(苦笑)、ペグを回したら逆向きに巻いていた、といった事も日常茶飯事。

それだけでなく、誤ってメイン弦を切ってしまったり、切れた弦で指や目をケガしてしまったり、なんて悲惨な目に合う事もしばしば・・・。

弦交換を失敗してしまう主な要因は、

  • 弦をどれくらい緩めるかがわからない
  • 弦の巻き付け方巻き量がわからない
  • そもそも正しい手順がわからない
  • チューニングの正しいやり方がわからない

この辺りが多いかと思います。

さらに今回ご紹介するロック式ともなれば、ペグを回す前に行程がいくつもあるためにややこしかったり、交換そのものが一筋縄ではいきません。

出来る限り解りやすく!をモットーに、皆さまにお伝えできればと思います!!

↓今回の記事はこんな内容です!↓

  • 複雑で難しいとされる、ロック式トレモロ搭載エレキの弦交換方法をご紹介!
  • 正しい行程、ミスが多い行程などを一つずつ解説!
  • 2弦だけが切れた!といったケースにも対応しています!

それでは早速見ていきましょう!!

ロック式エレキの弦を自分で交換しよう!

今回弦を交換するのはこちらのギター。

私が所属するなるせ音楽教室のベーシスト・有川先生から買い取った、フェルナンデス製のyou(ジャンヌダルク)モデル。

このギターのトレモロユニットはフロイドローズではありませんが、ロック式ギターの構造は基本的に同じであるため、フロイドローズを使用されている方も参考にしてみてくださいね。

☆弦交換の際に必要となるものは?

こちらが、ロック式ギターの弦交換の際に必要な物です。

替えの弦、弦を切る為のニッパー、チューナーに、ロックパーツを触る為にサイズの合った六角レンチが必須となります。

六角レンチのサイズは ナット部とブリッジ部のパーツでそれぞれ違うため、ご自身のギターに見合った六角レンチをあらかじめ用意しておきましょう。

1、ロックパーツ(ナット部)を取り外す

最初に、弦をロックしているナット部のパーツ(ロックナット)を、六角レンチを使用して取り外します。

こちらは2弦がブリッジ部で切れてしまったときの写真。

ロックナットパーツから上はピシっと張った状態ですが、ネック側は緩んでいるのが判ります。

このロックナットパーツに、

このように、サイズの合った六角レンチを挿し込んで軽く回すと、このネジと金属パーツを取り外すことが出来ます。

こちらがナットで弦を留めているパーツ。

このパーツは弦を張り終えた後に同じ場所に戻せるよう、判りやすく並べておくのがオススメ!

左から6/5、4/3、2/1弦用のパーツ。

3つのロックナットパーツを取り外すと・・・

このような状態になります。これで、ペグを回すと弦を緩められる、という状態になったわけですね。

もし切れた弦を1本だけ取り換える際は(この場合は2弦)、

このように、外したい弦を留めているパーツだけ外しておけばOKです!

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2、弦を緩めて外す

続いて弦を留めているペグ部を回して緩め、弦を外していくのですが・・・この時、1本の弦だけを全て緩めるないようにしましょう!

弦は6本でバランスを取っているため、1本だけをベロベロに緩めると、弦が切れて跳ね返ってくるリスクがあります

そのため、全ての弦を満遍なく1~2周ずつくらい回して(細く切れやすい1弦から6弦→全て緩めたらまた1弦から6弦へ)、全ての弦の音程が無くなるまで緩めましょう。

ペグから弦を外したら、弦を押さえている棒(テンションバー)から弦を引き抜かないといけないのですが・・・。

上写真のように、弦のクセが付いているところをニッパーでカットしてから引き抜くとスムーズです。

Ogi
Ogi

クセの付いた弦を無理に引き抜くとギターに傷がつくため、注意してくださいね!テンションバーが無いアイバニーズのRG等の場合は、この工程をスキップしてください。

こちらは2弦が切れたときに、バーから引き抜くところ。

ナットやテンションバーから弦を外すことに成功したら、今度はブリッジパーツに留めてある部分を外します。

全ての弦を緩めた時点でブリッジ部は沈み込んでしまっているはずなので、

このようにアームを押し込んでブリッジ部を浮かせ、汚れてもいい布を挟み込んで噛ませましょう。

弦を留めているブロックを押し込んでいるピン(布の上)が出ていれば大丈夫です。

1本だけ切れた弦などを交換する際はブリッジが沈まない為、布を噛ませる必要はありません!
↓の方向に押し込んで布を噛ませる。六角レンチが回せるくらいしっかりめに。

六角レンチで固定部のピンを回すと、弦を留めているブロックが少し動き、弦が外れます。

外れた弦はこのようにクセが付いている。

取り外した弦は、各市町村の規則に従って処分してくださいね。

このように丸めて捨てると嵩張らなくていい。

ちなみに、弦がブリッジ部で切れてしまった場合は、ブリッジパーツ内に切れた弦の先が残っていることが多いです。

黄色い○の部分に弦が残っているのがわかる。

この場合は指をケガしないように気を付けつつ、切れた弦の先をつまみ、六角を回して取り外しておきましょう。

3、ネック(指板とフレット)の手入れ

弦が外れたら、フィンガーイーズや手入れ用オイルなどを使って、指板やフレットなどを綺麗に磨きます。

TUNEギターマニアックのリペアマン・月森さんオススメのフレットオイル↓

BIGBENDS  / FRET BOARD JUICE 1oz

手入れの仕方は人によるかと思いますが、オイルを直接ネックに吹き付けると、フレットの隙間などにオイルがたまるためにトラブルの原因となります。

個人的には、布にオイルを染み込ませて拭く→その後軽く乾拭きと言うのが理想だと感じています。

指板は強くこすりすぎると傷んでしまうこともあるので、やりすぎないよう、適度にしておきましょう。

また、弦の下にあたるピックアップの間やヘッド部(特にペグの間)はホコリが溜まりやすいため、この機会に乾いた布で拭き取っておきましょう。

4、ブリッジパーツに新しい弦をセット

Ogi
Ogi

この辺りからいよいよややこしくなってきますので、じっくりいきましょう!

まずは、ブリッジ部に弦をセットするのですが・・・。

ワウンド弦。オレンジの線の所でカット。
プレーン弦。赤線の所でカット。

新しい弦の丸い部分(ポールピースといいます)を、ニッパーでカットしましょう。

続いて、切った弦をつまんでブリッジパーツに挿し込みます。

こんな感じ。

弦が入るスペースが無い場合は、該当するパーツの六角を回して、ピンを少し後ろにずらしましょう。

弦が入ったら、再び六角を回してピンを動かし、ブリッジ内のブロックで弦をガッチリ固定します。

全ての弦をこのタイミングで固定するわけですが、この時に注意していただきたいのが・・・。

上写真の矢印のような状態です。パーツの真ん中で固定されておらず、やや6弦側にズレています。

きちんとしたチューニングを実現するためにも、可能な限りど真ん中に弦が来るようにセットしてくださいね!

こちらは2弦をセット中。ブロック内部にしっかりと弦を挿し込む。
ブロックを噛ませて固定完了!

締め込み方が緩いと途中で悲惨な目にあいますから、ガッチリかみ合わせておきましょう!

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5、ペグに弦をセット&巻き付ける

ブリッジへの弦固定が出来たら、次にペグへのセットです。

この工程が複雑で苦手という方も多いのではないでしょうか。ポイントとしましては・・・。

  1. レスポールタイプの場合、(ギターを構えた時)上に6~4弦、下に3~1弦。つまり、6~4弦と、3~1弦で、巻く向きが逆になることに注意!!
  2. ギターを構えた時上にくるペグのボディ側に、6弦のペグ。ボディから一番遠い位置に4、3弦が来るので、巻き付ける位置に注意!!
  3. 弦に張りを感じるくらいまで巻き付けるまでは、ペグから弦が外れてしまう可能性があるため、途中で気を抜かないように注意!
  4. ペグに弦を巻き付けている最中に、ブリッジから弦が外れてしまう事があるが、その際は再度ブリッジパーツへの固定からやり直す。

この4点に気を付けてくださいね。

また、ロック式ギターのヘッドにはテンションバーが付いているタイプが多いのですが、

1,6弦はネジの外側(黄色矢印)、2~5弦はネジ(赤丸)より内側に通す。

1、6弦はバーを固定しているネジの外側に。2~5弦は、バーの内側を通るように通すのを忘れないようにしましょう!

ちなみに、弦をペグ穴に通しやすいよう、ペグ穴をボディ側に向けておくとやりやすいです。

この時は、2弦は新品同様だった為残してある。

ペグ穴に弦を通したら、 ペグ穴の先の弦を持ち、隣のペグくらいまで余剰分を取ります (上、下写真)。

2弦のみを交換する時の様子。1,2弦はペグ1つ半くらいがオススメ。
4弦や3弦の時は、目測でペグ1つ分くらいの余剰を。

その余剰分をキープしたまま、巻き付けるペグの辺りまで弦を押し戻して、弦を軽く折り曲げてクセをつけ、引っかかるようにします。

そして、右手でボディ側の弦を持ち、ペグに引っ掛けた所を基点にして、ペグを回していきます。

どの弦でも、矢印の方向に引っ張りつつセット。

回す向きは、

  • 上側(6~4弦)は、親指を押す、反時計回りに。
  • 下側(3~1弦)は、真上から見たときに時計回りに。

このようになります。私のように方向音痴の皆さま、頑張りましょう!(苦笑)

回し始めると、余剰分とメインの弦が交差するところが表れます。

オレンジがメインの弦。白が余剰分。

最初の交差ポイントでは、メインの弦が上に来るように巻き(上写真参照)、

オレンジがメインの弦。白が余剰分。

2周目は、メインの弦が、巻き付けた弦や余剰分よりも下に来るように巻いていきます。

ワウンド弦も同じ要領で。
2周目が交差する時に弦を押さえるのがポイント。
こちらは2弦。こんな感じになっていればOK。

3、4周目は、どんどん下に巻き付けていきましょう(6~4弦は2~3周で巻き終わります)。

メインの弦の方にややコシが出てきて、微妙な音程感が出てくるところまで巻く、というのが目安です。

6弦を巻き終えたところ。

テンションバーの下に弦が来ており、かつ、固定ネジの外側に6弦が来ていればクリア!!

1弦や2弦の場合は、このようにやや多めに弦を巻いておくことで、チューニングが安定しやすくなると思われます。

6弦を巻き終えたら、他の弦も順に巻いていくわけですが、上写真のようにテンションバーの&ネジの内側を通すことを忘れないようにしましょう!

全ての弦の仮留めが終わったら、余分な部分をニッパーでカットし、ブリッジ部に挟んでいた布を外します。

そしてヘッドにチューナーを取り付けて、次の工程へ!!

6、チューニング

まずは、ベロンベロンになっている弦が無いかチェックしましょう。

全ての弦で、ある程度の音程が出てくるまでペグを巻いたら、いよいよチューニング!今回はレギュラーチューニングに合わせます。

まず前提として、ギターの音程は以下の様にローマ字(A~G)で表します

A(ラ)B(シ)C(ド)D(レ)E(ミ)F(ファ)G(ソ)

チューニングは(6弦から)EADGBEに合わせるわけですが、音の高低を理解していないと、弦を切ってしまうリスクが高くなるので気を付けましょう!

音の高低は以下のようになります。

Low← E(6弦) F G A(5弦) B C D(4弦) E F G(3弦) A B(2弦) C D E(1弦) →Hi

さらに、音階の中には♯(半音上がる)と♭(半音下がる)も存在するのですが、BとC、EとFの間には♯/♭はないので、この点に留意すると良いでしょう。

ピアノ鍵盤で、ミとファ、シとドの間に黒鍵がない、と考えるとわかりやすいです。

音階の関係はこのようになります。↓

C、C♯/D♭、D、D♯/E♭、E、F、F♯/G♭、G、G♯/A♭、A、A♯/B♭、B、C

これらを頭の中に入れた上で、手順としましては、

  1. 弦を弾いてチューナーの表記を確認。
  2. 合わせたい音程に対して高いか低いかを確認
  3. 弦を弾き、音が伸びている状態でペグを回しながら、チューナの表記を確認
  4. 上記の表に従って、それぞれの弦を合わせていく

この手順が最も望ましい形です。

弦を弾きながら合わせようとすると、弾くたびに弦がたわんでチューニングが安定しなくなるので、オススメできません・・・。

張り替えたての弦はよく伸びるので、弦を軽く手で引っ張りつつ、チューニングは(ある程度安定するまで)複数回行ってくださいね!

仕事で1日に30~50回のチューニングを行う、私Ogiのオススメチューナーは、TC ELECTRONICのユニチューン
このチューナー、数ある製品の中で反応速度が断トツに早いです!あまりに快適すぎて、これを使うともう他のチューナーには戻れません!超オススメです。

ある程度チューニングが安定してきたら、ブリッジパーツの上部にある、普段チューニングを行っているコマ部(丸いネジ)の高さを調整しておきます。

左端が1弦、右端が6弦。

この写真の1弦と3~6弦は、コマ部を一番上まで回した状態で、2弦はそれよりもやや低い状態にしています。

この2弦のコマ部と同じくらいの高さに、全ての弦のコマ部の高さを合わせておき、その状態でピッタリのチューニングになるよう、ペグを回して調整しておきましょう!

そうすることで、いざナット部を固定してペグが回せない状態であっても、弦を緩めたり張ったり、という微調整がやりやすくなるのです!

念のために、この辺りで一度ブリッジパーツの弦固定ネジの締め込み具合を確認して、残す工程はあとひとつです!!

7、ナット部のパーツ(ロックナット)の固定

いよいよナット部のパーツ、ロックナットを元に戻します。

こちら、ロックナットパーツの裏面です。

うっすらと弦の跡が残っているかと思うのですが、このパーツには正しい向きがあります。

写真の赤線の向きに弦を圧迫できるよう、パーツの向きをしっかりと確認し、六角ネジで固定します。

全ての固定が完了したところ。

また、このパーツは六角ネジを回している最中も微妙に角度がズレてしまう事が多い為、まっすぐに固定できるように気を付けましょう。

固定した後もチューニングがズレるのは、(初心者の場合)このパーツの向きや締め込み方が原因であることが多い、とは有川先生の弁。(笑)

ロックナットパーツをガチっと固定した後、ブリッジ部のチューニングネジで微調整を行い、弦交換完了です!!

お疲れさまでした。(^^)

使用する弦について

私がエレキギターの弦として長年愛用しているのが、エリクサーシリーズ。

エリクサー

とにかく錆びにくいので、他の弦に比べて圧倒的に長持ちするために経済的!

また、錆びない=張りたてのシャキシャキした音が持続するため、長時間レッスンを行っていても、弦の音がヘタってしまう事はありません。

普段、オーダーメイド品であるストラトを使用している時は、エリクサーの09-42を愛用しており、今回登場したギターには、09-46を使用しています。

Ogi
Ogi

私はこの弦が発売されている限り、他のエレキ弦を使用する予定はありません。(笑)

また、サウンドハウスで注文すれば、多店よりも圧倒的に安く、2セット以上であれば送料もかからないので、とても重宝しています。

サウンドハウス

弦交換の頻度はどれくらい?

どれくらいの頻度で弦交換を行うかは、プロの間でも人によってかなり差があります。

基本的な考えとしては、

  1. サビてきたら交換(指が汚れやすくなる、1・2弦がザラついてくる、等)
  2. チューニングが合いにくくなってきたら交換(弾いてるとすぐに音がおかしくなる)
  3. エリクサーの場合、4・5弦辺りがケバだってきたら交換

こういった感じの症状が出始めたら交換の合図、という感じです。

エリクサーは特殊コーティングを施してある弦の為、たいてい上記3が最初の症状として現れます。

もしエリクサーを使用する場合は、1日30分~1時間程度の練習を毎日する方で1~3カ月に1回、週に2・3回ギターを触る方で半年程度が目安となります(かなり長寿命!)。

練習頻度だけでなく、弦をきちんと拭いているか湿度の高い場所に置いていないか等でも交換時期は変わってきます。

中には1年以上弦を交換せずに弾いている方もおられますし、定期的に1カ月に1回は交換するという方もおられますので、予算も含めてご自身に合うペースを見つけてくださいね。

我々ギター講師の場合、2週間~1カ月に一度+ライブ前やリハーサル(長時間の時)前に交換するため、かなり交換頻度は高め。
1,2弦が切れてしまった場合は、その時に全て張替えを行う事も。
アーニーボール社のノーマル弦などは音は良いですが、早ければ3~4時間で錆び始めるのが難点・・・。
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終わりに

いかがでしたでしょうか。

ロック式トレモロユニット搭載ギターは、チューニングが狂いにくいだけでなく、アーム奏法等も行える楽しい楽器です!

弦交換を自分で行えるようになれば、色々とメリットも多いはず!!

今後の長く楽しいギターライフのためにも、是非頑張ってトライしてみてくださいね!(^^)

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