こんにちは、Angler Ogiです。
6月9日、今がベストシーズンであるハッチョウトンボを撮影するため、加西市の網引湿原へ。
初めて訪れる有名な産地は、辺り一面ハッチョウトンボだらけという、噂に違わぬ多産地でした!
網引湿原は保存会の皆様が丁寧に管理しておられる管理湿原です。
多くの方がブログにアップされているので、私も地名を出したうえで今回の記事を書いています。
現地到着は10時半頃
息子と嫁さんを送り出し、現地に到着したのは10時半ごろ。
有名な産地だけあって駐車場は一杯な上に、何やらカメラを担いだ団体さんもおられるようです。
マムシが非常に多いようなので、対策として長靴を装備。
網は勿論持たず、今回はカメラのみを持っての撮影です。
入口で入場者を数える為のカウンターのヒモを引き、いざ入場。
林道をしばらく歩いていくと、
湿地や池から流れ出ていると思われる、非常に良い感じの細流が。
記録にはありませんが、おそらくハネビロエゾトンボも棲息しているのではないかと思えます。
更にしばらく歩き、道中の小川で(外部から種を持ち込んだりしないように)足を洗った上で、最初の湿地に到着。
湿地の入り口ではサラサヤンマが往復飛翔しており、クロスジギンヤンマも時折通過します。
また、湿地を守る為のロープ付近には・・・
ウチワヤンマの雌が鎮座。
産卵以外で姿を見かけるのは結構珍しいので、少しテンションアップ!
軽く見て回りましたが、ハッチョウトンボが多いのはこの場所ではないようなので、早々に次の湿地へ。
この池の周囲には、6月を過ぎているにもかかわらずフタスジサナエがあちこちに静止していました。
周囲の雰囲気・湿地の草むらの感じから考えると、ハネビロエゾだけでなくエゾトンボも棲息しているかもしれません。
そんな感じでワクワクしながら湿地に入っていくと、遊歩道で撮影を楽しんでいる方がチラホラ。
明らかに良いカメラをお持ちのおじ様に声をかけると、やはりハッチョウトンボを撮影しているとのこと。
すぐ近くにお邪魔させていただき、湿地を覗き込んでみると・・・
いました、今回の本命であるハッチョウトンボです!
湿地を覗き込んで僅か2秒、いきなり本命と出会うことが出来ました。
久しぶりにハッチョウトンボを確認できたことに喜びつつ、ひたすら写真を撮っていきます。
しかし、10年近く使ってガタが来ているD5000&55-300Wズームレンズのオートフォーカスでは、2㎝程度のハッチョウトンボに中々ピントが合いません。
今回はオートフォーカスを一切使わず、全てマニュアルで撮影することにしました。(苦笑)
幸いハッチョウトンボはかなりの個体数がいるようで、
未成熟個体と成熟個体が入り混じって、20頭近く確認できました。
しかし、先ほどのおじ様も「雌はどこかなぁ・・・」と仰っており、まだ雌の姿は見えません。
ようやく怪しい色合いを見つけた!と思ったら、
まだ体の赤色が薄い、未成熟な雄でした。(苦笑)
この段階で、時刻はまだ11時前。
焦らずとも昼前には雌が見られるだろうと思い、とりあえず雄の写真をこれでもかと撮影。
気温が30度近くある晴天だったので、見事なオベリスクもチラホラ見受けられました。
湿地奥で雌&テネラルな雄を発見!
ある程度雄の撮影に満足し、おじ様に狭い遊歩道の道を譲って頂いて、少し奥へ。
先ほどよりも広い空間があり、モウセンゴケの花(白色)とコモウセンゴケの花(ピンク色)が沢山見受けられます。
モウセンゴケが生える赤茶けた湿地=ハッチョウトンボの棲息地のイメージに違わず、
あちこちにハッチョウトンボがいます!これぞ正にパラダイス・・・!
少し強い風が吹くと飛びたつ雄がいるのですが、そうするとすぐ傍にテリトリーを形成している雄のエリアに侵入してしまい・・・
あちこちで縄張り争いが勃発!
多い時には6頭ほどの雄同士がケンカしていました。
雄の縄張り争いの様子を観察していると、
ようやく雌の姿を発見!!
雌は腹部に三角形の斑紋があるので、これで未成熟個体でも判別がつきます。
ちょっと愚痴。
と、このタイミングで、先ほど入り口にいた団体さんが到着。
湿地の管理をされているであろう方の解説のもと、湿地を観察しているのですが・・・。
私の後ろを通る際にカバンをぶつけて行ったり、撮影中に真横をずっとウロウロされるので、足場が大きくガタついて撮影に集中できません。
また、リュックを背負ったまま立ったり座ったりする方がおられ、その度にロープがリュックに引っかかって、私にぶつかってくるのです(かなり痛い・・・)。
管理者の方はそれに気づいてくださったのか、すっと場所を(奥へ)ずらしてくださったのですが・・・団体の方々はしばらくこんな感じでした。
狭い遊歩道の上、観光地のような場所であるとは言え、せめて一声かけてほしいものです。
愚痴、終わり。(苦笑)
ハッチョウトンボの産卵撮影は難しい。
揺れる足場の上でもなんとかアングルをキープしつつ、
未成熟な雄を撮影していると、
未成熟な雌も視界に飛び込んできました!
雌も1頭見つけられれば、次々に見つかるから不思議です。
曇った時に撮影すると、色合いが渋い感じに変わって最高です。
成熟した雌が静止していました。
近づいても全く逃げないので、指に止まってくれないかな~と、そ~~っと指を近づけてみましたが、ダメでした。(苦笑)
そんな楽しいひと時を過ごしていると、突如ブゥウ・・・と重そうな羽音が。
湿地に目を向けると、交尾態となっているペアが飛んでおり、その周囲を5頭ほどの雄が囲んで争っているではありませんか!!
慌てて撮影できそうな場所に行き、急いでカメラを向けてペアを探すと・・・草むらで静止していました!
ピントを合わせてシャッターを切ってみたら・・・
もう連結を解いていました・・・しかもピントまでボケボケ。
時間にして僅か10秒程度と、恐ろしく短い時間でした。
この後このペアは産卵するはず!と待ち構えていたのですが、すぐに他の雄に取り囲まれてしまい、追いやられるように湿地の奥へ。
残念ながら、撮影可能な場所での産卵は行ってくれませんでした。
時刻は正午前なので、まだ交尾と産卵を撮影するチャンスはあるはず。
とりあえずは被写体になってくれそうな個体を探すと、
羽化後まだ間もないと思われる、黄色みが強い個体を発見!
この色合いが成熟すると真っ赤になるわけですが、若いころは赤くなることが予想できないような色合いをしています。
とはいえ、
数日も過ぎれば、この個体の様に赤いまだら状の模様になって、最終的には真っ赤になる訳ですから、本当に面白いトンボです。
すぐ近くには、同じように若い雌も静止していました。
様々な成熟度合いの個体が一堂に見られるのも、多産地ならではの光景ですね。
この個体を撮影していると、視界に雌が飛び込んできました。
ひょっとしたら、産卵にやってきたのかも・・・と思ってしばらく待っていると、別角度からまたブゥウ・・・という重たそうな羽音が!!
急いでそちらにカメラを向けると、ちょうど交尾態が静止するところでした!
ピントアワセもそこそこに、急いで数枚シャッターを切ると・・・
なんとか許せる範囲の写真が撮影できていましたが、このペアも交尾は僅か10秒程度。
おそらく飛翔しながら交尾をしていて、静止した時間が10秒程度という事だったのでしょうが・・・そもそも小さい上に時間が短すぎて、撮影が大変です。(苦笑)
そしてこのペア、他の雄たちに見つかることなく・・・
素早く連結を解き、雄が警護飛翔する傍ら、雌が産卵を開始!
素早い+小さい+草むらの中という高難度な撮影でしたが、
四苦八苦しながら、なんとかそれっぽい写真を撮影出来・・・たのでしょうか。(苦笑)
10秒程度産卵→数秒静止→また10秒程度産卵、という動きを3~4回繰り返しただけで、すぐに産卵は終了。
思っていたよりも産卵の時間が短かった事に驚きつつ、他にもペアを探してみましたが、この日はこれだけでした。
若い個体が結構目立っていたので、この場所での産卵のピークは6月末~7月頭頃といった感じですね。
湿地にはサラサヤンマもちらほら。
ハッチョウトンボの産卵を撮影している最中、奥の湿地をグルグル飛び回っているサラサヤンマがずっと気になっていたので、撮影しに行ってみました。
さすがにハッチョウトンボよりもかなり大きいので、動きは速いもののピントは合わせやすく感じました。
ホバリングしてくれたらもっと撮影しやすいんですが、
この個体はホバリングの時間が1秒程度と超短く、ひたすらぐるぐる飛び回っていました。
この場所での撮影にも満足したので、撤収。
帰りにアオイト属の発生状況を見に、定点池に寄ってみると・・・
草むらは、辺り一面アオイトトンボ&オオアオイトトンボ。
今年は特に個体数が多いのか、凄まじい数でした。
時間となったので、これにて捜索終了です。
ハッチョウトンボ観察の纏め
流石の有名産地、至る所にハッチョウトンボが見られるパラダイスでした。
環境的にはハッチョウトンボとサラサヤンマだけでなく、
- 湿地周辺でエゾトンボ
- 林道の水路でハネビロエゾトンボ
- 池の周囲でナニワトンボ
- 黄昏時にマルタンやネアカヨシヤンマ
- その他、マイコアカネやヒメアカネ等アカネ属
これらの種が棲息していてもおかしくないような環境が整っており、実に素晴らしい環境です。
湿地保存会の皆さまの努力があり、このような聖地のバランスが保たれていると思われますので、今後もこの環境が続くことを祈ります!
兵庫Aランクの貴重種、モートンイトトンボの記事です↓
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