こんにちは、ギター講師のAngler Ogiです。
エレアコ(エレクトリック・アコースティックギター)購入といえば、
- 値段
- 生音の良し悪し
- 見た目(カラーや形、ブランドメーカー)
- ピックアップの質(スピーカーに繋いだ時の音)
- 弾き心地
このように様々な観点で迷いが生じる一大イベント!
私も最初に良いエレアコを購入した時は、3度同じ店を訪れ、購入した日は(店員さんと相談しつつ)4時間悩みぬきました。
そこで今回の記事では、良いエレアコ(アコギ)を購入する際に気を付けるべきポイントを4つに分けて詳しくご紹介していきます!
↓今回の記事はこんな内容です!↓
- エレアコは値段が変わるとどうなるの?詳しく解説!
- なぜエレアコって必要なの?普通のアコギとの違いをご紹介!
- 値段が高い(良い)エレアコは何がどう違うのでしょうか!?徹底解説!
〇そもそもエレアコって?
エレアコとは、アコースティックギター(以下、アコギ)に電気的処理を施したもの。
エレキギターのようにケーブルを通して音を(スピーカー等から)出力できる状態になっています。
お店で売られているアコギは、
- 生演奏を想定した、外部出力装置が付いていないアコギ(通称生アコ)
- 最初から外部出力を意図して電気的処理を施されているアコギ(エレアコ)
この2種類があります。
エレアコはケーブルを繋がなければ普通のアコギと同じなので、普段の練習に使う事も(当然ながら)可能。
対して生アコは、大きなステージで演奏することを想定していないため(その場合は別にマイクを使用)、通常ステージではエレアコを使用するのが一般的です。(後述します)
また、生アコに後から電気的処理を加え、エレアコとすることも出来ます。
〇エレアコが必要な理由/メリット
家庭で1人で演奏を楽しんだり、練習をする程度であれば、アコギでも十分に音が大きいので問題ありません。
ところが、ステージの上に立ったり、ストリートライブを行うとなれば話は別。
生のアコギの音だと小さすぎて、お客さんの耳に音が届かないのです。
そこで登場するのがエレアコ!
ケーブルを通してスピーカーやアンプから出力するという事は、ギターの音色はそのままに、音量を大きくすることが可能となるのです。
勿論、生アコにマイクを立てることで音量を大きくすること自体は可能ですが、
- 他の楽器の音をマイクが拾ってしまう為、クリアな音になりにくい
- マイクとギターの距離をずっと一定に保ちながら弾かなければならない為、演奏技術が要求される他、ステージパフォーマンスがやりにくい
- セッティングに時間がかかる
このようなデメリットがあります。
対してエレアコであれば、ケーブルを挿して音色を少し調整するだけ。
後はステージ上を(ケーブルが届く範囲で)自由に動くことが出来ますし、変に他の音が混ざってしまうこともありません。
私はよく演奏でステージに立ちますが、基本的にエレアコで演奏しています。
〇エレアコのデメリット
万能とも思えるエレアコですが、多少のデメリットがあります。
- 電池駆動の物が多く、このタイプは定期的に電池を取り換えなければならない
- 夏場など高温になる場合は、電池の液漏れにより故障のリスクがある
- 電気処理されている分(プリアンプ、内臓マイク等)、生アコより少し重い
- ケーブルを挿す場所(ジャック部)は、錆びたりホコリが入ったりしないように注意
- 生アコに比べてやや高価なモデルが多い
生アコであれば、ギターそのものの管理だけでOKですが、エレアコは電気楽器。
電池駆動タイプの物が多いのですが、やはりこの部分が一番トラブルが多い為、電池のチェックは欠かせません。
ピックアップが搭載されている分、少し重めであるという事も覚えておきたいポイントです。
また、生アコの値段+電気処理分の値段、という計算方式が成り立ち、通常は生アコよりやや高価なものが多いです。
有名ブランド品であれば「生アコであっても高級品」、という物も多いので、この部分はエントリーモデルを購入する際にデメリットとなりえる箇所です。
ただ、これらのデメリットを補って余りあるのが「ステージで手軽に大音量を得られること」。
ステージ演奏を目標とされる場合は、是が非でもエレアコを購入しましょう!!
〇エレアコ選びの最重要項目:値段と見た目
エレアコを買おう!と思われる皆様はきっと、購入後にライブに出たい!という明確な目標、強い意志があるのではないでしょうか。
エレアコ購入の際に考えるべきポイントは、
- 値段(予算)
幾らまで出せるか、という事はもちろん、いいギターが見つかった時に幾らまでなら予算オーバーしても買えるか、まで考えておきたいところ。 - ボディシェイプ/サイズ(見た目やプレイアビリティ)
ボディサイズ、カッタウェイか否かはあらかじめ決めておきたい。
順に見ていきましょう。
エレアコ購入時の予算について
エレアコは総じて、アコギより購入価格が高くなります(特にエントリーモデル)。
その理由は先述した通り、 生アコの値段+電気処理分の値段、となる為です。
そこで、エレアコを買う際の最低予算ラインは4万~5万だと思ってください。
何故なら、一般的に言われる「ちゃんと鳴らせるアコギ」というのは、生アコでも最低2~3万円程度。
そこに電気処理を加えるわけですから、当然その分の材料費や工賃分だけ、値段が上乗せされる訳です。
ざっくり考えると・・・
つまり、5万円程度のエレアコ=スピーカーから3万程度の生アコの音が出る、というようなイメージです。
勿論メーカーによって多少の差異はありますが、この値段帯は音・使い心地的にそれほど大きな差はありませんので、おおよそこんな感じ、とイメージして頂ければ大丈夫です。
もし3万円のアコギを既に所有していて、ちょっといいエレアコを買いたい、という事でしたら、最低7~8万程度の予算が必要という事になりますね。
これなら、ギターの音自体は5~6万程度の生アコと同程度の物になる為、ランクアップかつエレアコとして使用できる、という意味で価値があります。
しかも、 7~8万のラインはちゃんとエレアコとして組まれたギターも多いので、安心です。
・憧れの10万越え~20万のエレアコ
10万円を超えたあたりから、エレアコは世界が変わり始めます。
この値段帯になると、そもそも取り付けられる電気部分(プリアンプ)が一気にランクアップし、電気を通したときの音質が格段に良くなります。
そして、エレアコ用に作られたギターに、その型に合わせて作られるプリアンプが初めから搭載されるため、当然相性は抜群。
値段以上に良い音のギターに出会えるようになるので、予算オーバーしやすいのもこの価格帯ですので、気を付けてくださいね!(苦笑)
仮に国内メーカーであれば、国内製造(検品)機種が増える価格帯なので、外れ個体が圧倒的に少ないのも大きなメリット。
もし「プロを目指しているわけではない、でも本気でエレアコを楽しみ、ステージにも立ちたい!」という事であれば、是非10万以上のエレアコを購入しましょう!
・20万円以上のエレアコ
20万円を超えると、プロが演奏で使用するレベルの物が手に入るようになります。
- 今後定期的にステージに立ち続ける予定の方
- 本気でプロを目指す方
こういった用途の場合は、迷わず20万以上のギターを購入しましょう。
30万円を超える場合はそれなりの覚悟が必要なため、懐事情と相談したうえで決めてくださいね!
有名ミュージシャンの多くや、私のようなプロ講師は、この30~40万円ラインのアコギを使用していることが多いです。
・50万を超えるとどうなる?
50万以上となると、もはやその存在・音は芸術品/骨董品の域に達します。
見た目にも大きな変化が登場し、
- ヘッドロゴ・ポジションマーク等 がアバロン (アワビ貝の内側 )仕様
- 使用される材料が超貴重な物となり、音質が抜群(ハカランダ・黒檀など)
- 数十年前の限定生産品だったりする(見た目から独特のオーラを感じる)
このような感じになります。
それ以上の物となると今回の趣旨から逸れてしまいますので、ご興味あります方は、是非お店の方と相談してみてくださいね。
ボディシェイプ(形)
エレアコには色々な形がありますが、まず決めたいのは、カッタウェイタイプか否か。
カッタウェイというのは、ハイポジションの部分が深く抉れているタイプのこと。
この処理があることによって、ハイポジションのフレーズが弾きやすくなるのです。
また、見た目にも大きな影響を与える箇所なのです。
私が使用しているアコギ2台は両方カッタウェイタイプ。
その理由は、ハイポジションを多用するメロディ弾きや押尾コータロー氏の楽曲演奏に、カッタウェイは欠かせないからです。
ただ、ノーマルなボディタイプの方が総じてサウンドが良い(あたたかみがある)傾向にあるので、純粋な弾き語りのみに使用するのであれば、ノーマルタイプをオススメします。
ボディサイズ
そして次にボディサイズ。
アコギには、大きめサイズ(ドレッドノートタイプ)から、やや小さめでスマートなフォークタイプ(コンサートタイプ等)、さらに小ぶりなものまで、様々なサイズが用意されています。
サイズによる違いは以下の通り。
↓ドレッドノート等の大型タイプ ↓
- メリット
ボディが大きな分パワーがあり、押尾奏法含め様々な演奏に使用可能。 - デメリット
大きい為、小柄な方は演奏するのが大変で、持ち運びも嵩張る。
↓フォーク/コンサート等の中~小タイプ ↓
- メリット
やや繊細で持ち運びしやすく、フィンガーピッキングやソロギター向き。 - デメリット
低音がかなり控えめで、バンドに入ると音圧で負ける事がある。
ただ、大型でも繊細な音が鳴るギターもありますので、やはり試奏して決めて頂くのが一番オススメです!
〇良いアコギは何が違う?4つのポイント解説!
講師である私Ogiが、生徒の皆様からよく受ける質問があります。
それは。
「良いギター」、高いギターって何が違うんですか?初心者の私に、違いは判るんでしょうか??
というものです。
確かに私も、初めて良いギター(TakamineのTDP512、当時12万8千円)を手にするまでは、そんなに違いが判らないだろうと思っていたのですが、現実は違いました。
何が違うのか、4つのポイントに注目して見ていきましょう。
その1、音色
まずは騙されたと思って、一度10万越えのギターを弾いてみてください。
3万代、7万代、10万代とジャンプアップしていくと、その違いがよく判ります。
安いギターはボディの表面だけが鳴っているイメージですが、良いギターになるとボディ全体が共鳴するような感覚が。
ギターに触れている個所全てから、共鳴の振動を感じ取ることが出来ます。
そして、音量はあるのに耳に優しく、強く弾いていなくてもよく鳴り、ピックをあてる強弱によってガラっと音色の雰囲気が変わるのです。
弾き始めると吸い込まれるような錯覚に陥り、気が付くと「ずっと鳴らしていたい」という催眠術にかかったかのような状態になります。(笑)
その2、見た目
先述しましたが、高級ギターになると、美しい装飾が随所に散りばめられたモデル(Martin D-45等)から、余計な装飾は一切ない重厚な木のオーラをまとったもの(Gibson J-45やMartin D-28等)が登場します。
同じように木で出来ているとはいえ、安いギターと高級ギターでは、明らかに見た目に差があります。
ヘッドロゴを見るだけでも、そのカッコ良さを知って頂くことが出来るかと思いますし、付属品として付いてくるハードケースも重厚なものとなるので、見た目の面でも差がついてきます。
その3、ピックアップ
安いエレアコには安いピックアップ(音を拾ってくれる部分)が搭載されていますが、高級エレアコにはそれに見合った良いピックアップが搭載されています。
中には2か所(2タイプ)のピックアップが搭載されているモデルも多いので(Taylor社製等)、弾いた時のタッチからピックの擦れる音、ボディを叩く音まで、しっかりと拾ってくれます。
さらに、エレアコの良いピックアップの条件=生アコの状態の音をそのままスピーカーに出力、という図式が成り立ちますが、高級エレアコのピックアップは正にそれ。
ケーブルをただスピーカーに繋いだだけで、生のアコギの音がそのままスピーカーから出てくれるので、音作りは非常にシンプルなもので済みます。
安いエレアコのピックアップは、アコギを弾いているのにエレキギターみたいな音になってしまう物も多い為(弦振動を完全に電気信号に置換してしまっている)、購入の際は必ずアコギ用アンプやスピーカーに接続した状態での試奏をオススメします。
その4、弾き心地(弾きやすさ)
最後に弾き心地です。
安いギターはどれだけ弦調整やネック調整を施しても、何とも言えない弾きにくさが拭えません。
特に左手の力具合は深刻で、2万円以下のアコギだと、ギターのネックを握りつぶすレベルの握力が必要なものも・・・。
それに対し高級ギターは、左手をネックに添えた瞬間から、質感が違います。
そして実際に弦を抑えてみると、その柔らかさに驚いて頂けるはず!!
私のレッスン中に、今まで2万円のアコギや5万円のアコギを使っていた方に、私のTaylor(定価35万円程)を試奏してもらった時の表情が忘れられません。
皆さま満面の笑みとなり、左手の感触に感動、音に感動した後、しばらく私のギターを返してくれなくなるのです。(笑)
それほど良いギターの弾き心地には心惹かれるものがあるのです。
安いギターを批判するのではなく、良いギターは「あまりに良すぎる」ためにおこる事態。
皆さまにも、是非体験していただきたいなと思います。
〇良いエレアコに関する纏め
いかがでしたでしょうか。
エレアコを選ぶ際の予算の他、 エレアコのメリット・デメリット、「良いアコギとは何か」といった事にフォーカスしてみました。
次の記事では、エレアコメーカーについて詳しく書いていますので、後編の記事も是非ご覧ください!!↓
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