こんにちは、ギター講師のAngler Ogiです。
昨年公開したメジャー系のギターのオン/分数コードを集めた記事が大きな反響を頂いておりますので、今回はマイナー系の特集です。
メジャー系のオン/分数コード以上に、マイナー系はほぼコードブックに掲載されておらず、苦労された経験がある方も多いのではないでしょうか。
よく見かけるものから、少しコアなものまで、35種類のフォームをご紹介していますので、お探しのコードもきっと見つかるはず!!
早速見ていきましょう!
↓【今回の記事はこんな方にオススメ!】↓
- マイナー系のオン/分数コードが知りたい!ネットで探しても見つからない!
→見かける物は全て網羅!このページできっと見つかります! - 同じ押さえ方で、違う呼び方があるのは何故?
→バッチリ解説しています! - 省略したい時はどうしたらいい?
→難しいコードは省略フォームが存在する場合も!?
↓【この記事に登場しているマイナー系オン(分数)コード一覧!】↓
- Am(onD)、Am7(onD)、Am7on(E)、Am(onG)、Am7(onG)、 Am(onB)
- Bm(onC#)、Bm(onD)、Bm(onE)、Bm(onF#)、Bm(onA)、Bm7(onA)、Bm(onB♭)、Bm△7(onB♭)
- Cm(onD)、Cm(onF)、Cm7(onF)、Cm(onG)、Cm7(onB♭)
- Dm(onC)、Dm7(onC)、Dm(onG)、Dm7(onG)、Dm(onA)、Dm7(onA)
- Em7(onD)、Em(onF#)、Em(onA)、Em7(onA)、Em(onB)
- Fm7(onE♭)、Fm7(onG)、Fm7(onB♭)
- Gm7(onC)、Gm(onD)、Gm7(onF)
そもそもオンコード(分数コード)とは?
楽譜に登場するコードの中には、
- Am7/G・・・Gぶんのエーマイナーセブンスと読む
- Am7(onG)、Am7onG・・・ エーマイナーセブン(ス)オンジーと読む
こういった表記のコードが登場する事があり、これらをオンコードや分数コードと読んでいます。
どちらも同じ意味を表しており、Am7がメインのコード、onが付いている方(分母の方)Gがベース音となっています。
世界水準で言うと分数コードの方が広く使われており、オンコードは日本の楽譜メーカーが使い始めたために国内で普及したもの。
弾き語りをする場合や、バンド全体のアレンジで「ギタリストもベース音を弾く」というケースがよくあり、そういった時に役立つのが、今回ご紹介する分数コードの押さえ方です。
働きや考え方など、詳しい事はこちらの記事に纏めておりますので、併せて見てみてくださいね。↓
同じ音なのに呼び方が違う??
マイナー系のオン/分数コードの中には、わざわざオン/分数で表現しなくても、シンプル(一般的)な表記で済むケースが多々あります。
例えば、Em/Cという分数コードが出てきたとしましょう。
このコードの構成音を考えると、
- Emの構成音はミ・ソ・シの3音
- ベース音のCはド
このようになっており、併せるとド・ミ・ソ・シという音の並びになります。
カンの良い方は気づかれたかもしれません。
そう、ド・ミ・ソ・シと言えば、ただのC△7と同じ音の並びなのです!
この場合の表記はよりシンプルな方が優先されますので、必然的にC△7が採用されることがほとんどですね!
その他、音の並びが似ているもの(1音少ない等)や、働きが近いものも、表記が混ざることがあります。
例えば、
- Fm7(9)・・・構成音はファ・ラ♭・ド・ミ♭・ソ
- Cm/F・・・構成音はファ・ド・ミ♭・ソ
この2つのコードの違いはラ♭がいるかどうかだけなので、コードの響きはとても似ています。
どちらがシンプルな表記かと言われると・・・人によって違うはず。(苦笑)
全く違う表記のコードでありながら、働きは割と近いので、弾き語りにおいては互いに置き換えてしまっても成立してしまいます。
厳密にいうと他の楽器やメロディとの兼ね合いが非常に重要なので、可能であれば両方鳴らしてみて、マッチする方を選んでくださいね。
今回の記事では、表記違いで登場するコードも併せてちらっとご紹介しますね。
マイナー系オン/分数コードの押さえ方
この項目では、実際にマイナー系オン(分数)コードの押さえ方をご紹介!!
シンプルなものもありますが、かなり押さえにくいものも存在しますので、難しいものは代わりとなるコードや(状況によっては)ベース音の省略も考えましょう。
また、今回の記事には♭mや#m系のものは登場しません(B♭mやD#mなど)。
理由としては、これらのコードが多く登場する場合は、
- ハーフダウンチューニングやカポタストを用いて演奏するケースが多い
- バレーコード+小指を開くようなキツイフォームが登場する
このようになるからです。
♭m/#mはまた別の機会にご紹介しようと思っておりますので、乞うご期待!
Am系のオン/分数コード
Am系は、
- C6と同じ構成音になるonC
- F△7、F△7(9)と同じ構成音になるonF
- F#m7(♭5)と同じ構成音になるonF♯
これらが登場しません。
また、(不協和音チックな響きなため)稀にしか見かけないC#・D#・G♯・A#は、今回対象外としています。
そのため、ご紹介するベース音のバリエーションは、D・E・G・Bの4つとなります。
Am(onD)
比較的よく見かけるコードフォームで、
- 1フレット2弦=人
- 2フレット3弦=中
このように押さえます。
Am7(onD)
5フレットの1~5弦までをセーハし、6弦は人さし指の先端でミュートするこちらのフォーム。
比較的よく見かけるフォームではありますが、押さえにくい場合は、先ほど登場したAm(onD)のフォームで代用が可能です。
Am(onE)、Am7(onE)
Amを普通に押さえ、6弦の開放弦を鳴らせばAm(onE)に。
Am7を押さえた場合であれば、Am7(onE)になります。
Am(onG)、Am7(onG)
この2つのコードはどちらの表記も見かけますが、コードの構成音を考えると(本来は)Am7(onG)が正しい表記となります。
そのため、2つご紹介するどちらのフォームを使用しても大丈夫です。
1つ目のフォームはやや押さえにくいですが、Amを普通に押さえた後、小指で6弦3フレットを押さえます。
2つ目のフォームは、Cのフォームを普通に押さえた後、薬指を6弦3フレットに移動すれば完了。
5弦は本来コードの構成上鳴らすべき音なのですが、やや音が濁りやすくなるため、可能であれば薬指の腹でミュートする方がオススメです!
その場合の正しい表記はC(onG)、もしくはC/Gになりますが、働きは非常に近いため、使用することが可能です。
Am(onB)
マイナー系の曲で時折見かけるこちらのコードは、
- 2フレット5弦=中
- 2フレット4弦=薬
- 2フレット3弦=小
- 1フレット2弦=人
(6弦は親指か中指先端でミュート)
このように押さえます。
Bm系のオン/分数コード
Bm系は、
- G△7、G△7(9)と同じ構成音になるonG
- G♯m7(♭5)と同じ構成音になるonG#
これらが登場しないのと、不協和音チックな響きなため稀にしか見かけないC・D#・Fを、今回対象外としています。
ご紹介するベース音のバリエーションは比較的多く、C#・D・E・F#・A・B♭の6つ。
よく使用されるコードが多数登場します!
Bm(onC#)
- 4フレット5弦=薬
- 4フレット3弦=小
- 3フレット2弦=中
- 2フレット1弦=人
(4・6弦は薬指でミュート)
非常に独特な響きを持ったこのコードはこのように押さえます。
サビの終わりや曲のエンディングでたまに見かける程度ですが、上手く使えると非常にオシャレになりますので、見かけたら頑張って押さえてみてくださいね!
Bm(onD)
- 4フレット3弦=薬
- 3フレット2弦=中
- 2フレット1弦=人
(6・5弦は親指でミュート)
このコードは本来D6というコードと同じ構成音になるため、より押さえやすいD6で代用することも出来ます。
ただ、このコードを求められるケースではこちらのフォームの方がより良い響きを作りやすいため、是非覚えて使ってみてくださいね。
Bm(onE)、Bm7(onE)
こちらは、通常のBmを押さえて開放弦を鳴らせばBm(onE)に。
Bm7で鳴らせば、Bm7(onE)となります。
使用頻度としてはBm7(onE)の方がよく見かけます。
Bm(onF♯)、Bm7(onF♯)
こちらは、通常のBmを押さえる際に人さし指を6弦までカバーすれば、Bm(onF♯)に。
Bm7で鳴らせば、Bm7(onF♯)となります。
使用頻度としてはBm(onF♯)の方がよく見かけます。
Bm(onA)、Bm7(onA)
この2つのコードは、(Am7(onG)と同じように)どちらの表記も見かけますが、コードの構成音を考えると(本来は)Bm7(onA)が正しい表記となります。
そのため、また2つのフォームをご紹介しますので、気に入った方を使用してくださいね!
- 4フレット4弦=薬
- 4フレット3弦=小
- 3フレット2弦=中
- 2フレット1弦=人
(6弦は親指でミュート)
1つ目のフォームはこのように4本の弦を押さえるのが基本ですが、4弦を開放弦にした場合でも、コードは成立します。
その場合はやや音が濁る印象になりますが、3弦を薬指にすることで、かなり押さえやすくなるはず!
2つ目のフォームは、
- 4フレット4弦=薬
- 3フレット3弦=中
- 2フレット1~3弦=人セーハ
(6弦は親指でミュート)
このように押さえます。
本来こちらのコードは、構成音を考えるとD(onA)・D/Aですが、働きが近いため代用が可能です。
Bm(onB♭)
時折見かけるこちらのコードは、予めBmを押さえ、その後人さし指を2フレットから1フレットにずらして対応し、6・1弦は共に人さし指でミュートします。
正直かなり押さえにくいので、ベーシストがいる場合はBmの5弦を鳴らさないようにして対応できますし、Bm△7で代用することも出来ます。
そのBm△7のベース音がB♭となるフォームも時折見かけますが・・・↓↓↓
Bm△7(onB♭)
こちらがBm△7のベース音がB♭になったケース。
やはりBm△7を押さえた後に、人さし指を1フレットにずらして対応します。
正直人さし指を伸ばすのがかなりキツイコードなので、どうしても難しい場合はBm△7を使用しましょう。
Cm系のオン/分数コード
Cm系は、
- E♭6と同じ構成音になるonE♭
- A♭△7、A♭△7(9)と同じ構成音になるonA♭
- Am7(♭5)と同じ構成音になるonA
これらが登場しないのと、不協和音チックな響きなため稀にしか見かけないC#・E・F#・Bを、今回対象外としました。
ご紹介するベース音のバリエーションは、D・F・G・B♭の4つとなります。
Cm(onD)
- 5フレット3弦=薬
- 4フレット2弦=中
- 3フレット1弦=人
(6・5弦は親指でミュート)
こちらは、Bm(onD)のフォーム1フレット分ずらしただけのコードフォーム。
それほど見かけるコードではありませんが、非常に面白い響きを持ったコードなので、見かけたら頑張ってトライしてみてくださいね。
Cm(onF)
- 5フレット3弦=薬
- 4フレット2弦=中
- 3フレット1~4弦=人セーハ
(5・6弦は人さし指でミュート)
このように押さえるこのコードは、Cmと名前が付きながらも、Fmのコードと構成音が近いため、Fの仲間ような響きをしています。
Cm7(onF)
こちらは8フレットの1~5弦までを人さし指でセーハするだけ。
6弦は人さし指の先端でミュートします。
使い時はCm(onF)とよく似ており、働きも比較的近いため、(メロディ等を加味した上で)好みの方を選んでみてくださいね。
Cm(onG)、Cm7(onG)
こちらは、通常のCmを押さえる際に人さし指を6弦までカバーすれば、Cm(onG)に。
Cm7で鳴らせば、Cm7(onG)となります。
使用頻度としてはCm(onG)の方がよく見かけます。
Cm7(onB♭)
カポ無しだと非常に押さえ辛いコードですが、目にする機会は多めなので、掲載することにしました。
- 6フレット6弦=小
- 5フレット4弦=薬
- 4フレット3弦=中
- 3フレット1~3弦=人セーハ
(5弦は小指でミュート)
このように、とんでもなく押さえるのがキツイコードですが、登場した時は頑張ってトライしてみてくださいね・・・!
Dm系のオン/分数コード
Dm系は、
- F6と同じ構成音になるonF
- B♭△7、B♭△7(9)と同じ構成音になるonB♭
- Bm7(♭5)と同じ構成音になるonB
これらが登場しないのと、不協和音チックな響きになるC#・D#・E・F#・G♯は、今回対象外。
ご紹介するベース音のバリエーションは比較的少なめで、C・G・Aの3つとなります。
Dm(onC)
- 3フレット5弦=薬
- 3フレット2弦=小
- 2フレット3弦=中
- 1フレット1弦=人
(6弦は薬指先端か親指でミュート)
このコードの構成音上、4弦は鳴らしても問題ないのですが、5弦の音とぶつかって濁りやすくなるため、ミュートしておく方がクリアな音を得られます(その場合は薬指でミュート)。
Dm7(onC)
- 3フレット5弦=薬
- 2フレット3弦=中
- 1フレット1・2弦=人セーハ
(6弦は薬指先端か親指でミュート)
こちらのコードの場合、構成音上4弦は鳴らさないといけない音なのですが、5弦の音とぶつかって濁りやすくなるため、(薬指で4弦を)ミュートしておく方がクリアな音になります。
その場合の正しいコードネームはF(onC)・F/Cとなりますが、働きが近いために代用できます。
ちなみに、Dm(onC)とDm7(onC)はどちらもよく見かけるので、両方マスターしましょう!
Dm(onG)
- 3フレット6弦=薬
- 3フレット2弦=小
- 2フレット3弦=中
- 1フレット1弦=人
(5弦は薬指の腹でミュート)
こちらのコードはDmを押さえた後、薬指で3フレットの6弦を押さえて5弦をミュートします。
先ほどのDm(onC)と似ていますが、こちらはしっかりと4弦の開放弦を鳴らしましょう。
Dmの派生形でありながら、響きとしてはGのメジャー系に近いものになります。
Dm7(onG)
- 3フレット6弦=薬
- 2フレット3弦=中
- 1フレット1・2弦=人セーハ
(5弦は薬指の腹でミュート)
こちらのコードはDm7を押さえた後、薬指で3フレットの6弦を押さえて5弦をミュートします。
こちらも先ほどのDm(onG)の時と同じく、しっかりと4弦の開放弦を鳴らしましょう。
Dm(onA)、Dm7(onA)
この2つのコードは、どちらも元のコードからフォームが変わりません。
それぞれを押さえて、5弦の開放弦を鳴らすだけです。
6弦は親指でミュートしておきましょう。
Em系のオン/分数コード
Em系は、
- G6と同じ構成音になるonG
- C△7、C△7(9)と同じ構成音になるonC
- C#m7(♭5)と同じ構成音になるonC#
これらが登場しないのと、不協和音チックな響きになるD#・F・G♯・A#は、今回対象外。
ご紹介するベース音のバリエーションは、D・F#・A・Bの4つ。
コードの特性上、開放弦を多用することになります。
Em7(onD)
「何を血迷って、こんなまっさらな物を掲載したんだ!?」と思う方もおられるかもしれませんが、血迷っておりません。(笑)
1~4の開放弦の音を鳴らせば、このコードは成立してしまうのです!!
なので、5・6弦を適当な指(親や人など)でミュートすれば完了です。
ちなみに、Dの音はEにとってのセブンスの音にあたるため、Em(onD)はほぼ見かけません。
Em(onF♯)
こちらは6~4弦を人さし指の腹でセーハするだけ。
Em7(onF♯)は音が濁りやすい上にほぼ見かけないので、今回は除外しています。
Em(onA)
シンプルなフォームが続きます。
こちらは2フレット4弦を中指か人さし指で押さえるだけという、簡単なもの。
6弦を親指でミュートするため、4弦を押さえるのは中指がオススメです。
Em7(onA)
「さっきのEm7(onD)とどう違うんだ!?」と思う方もおられるかもしれませんが、これで合っています。(笑)
先ほどのEm7(onD)違いは、こちらは5弦が鳴っている、ということだけ。
1~5の開放弦の音を鳴らせば、このコードは成立します!!
Em(onB)
こちらは通常のEmを押さえ、6弦をミュートするだけ。
ミュートする指は親指か、5弦を押さえている中指の先端を触れさせるのがオススメです。
FmとGm系のオン/分数コード
FmとGm系は共にバレーコードとなる関係上、カポタストを使用せずに鳴らすケースはかなり限られます。
無理やり鳴らす事も出来ますが(必要な事もある)、指の開き方がキツイものもあるため、今回は除外しました。
そんな中、比較的見かける機会が多いものを、Fm・Gm系ともに3つずつ、合計6つピックアップしていきます!
Fm7(onE♭)
こちらは1フレットの1~4弦を人さし指でセーハするだけ。
5・6弦は親指か、中・薬指辺りでミュートしましょう。
Fm7(onG)
こちらは1フレットの1~4弦を人さし指でセーハした後、3フレット6弦に薬指を置きます。
5弦は3フレットを押さえても良いのですが、薬指でミュートした方がクリアな響きになります。
Fm7(B♭)
こちらは1フレットの1~5弦を人さし指でセーハするだけ。
5・6弦は中・薬指辺りでミュートしましょう。
Gm7(onC)
こちらは3フレットの1~5弦を人さし指でセーハするだけ。
5・6弦は中・薬指辺りでミュートしましょう。
Gm(onD)
こちらは3フレットの1~3弦を人さし指でセーハするだけ。
5・6弦は親指か、中・薬指辺りでミュートしましょう。
4弦の開放弦をしっかり鳴らす事が大切です。
Gm7(onF)
- 3フレット1~4弦=薬or小指セーハ
- 1フレット6弦=人
(5弦は人さし指でミュート)
かなり押さえにくいコードの登場です。
このフォームが難しい場合は、3フレットの1~4弦を人さし指でセーハするだけでも構いません。
その場合、5・6弦は親指か、中・薬指辺りでミュートすることになります。
マイナー系オン/分数コードについてのまとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、マイナー系オン/分数コードについて詳しくご紹介しました。
曲の雰囲気が1段階も2段階もグレードアップするオン/分数コード、皆さまも頑張って習得してみてくださいね!!
オン/分数コードの仕組み、メジャー系の押さえ方はこちら↓
覚えておいて損はない!カポタストについて↓
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