こんにちは、ギター講師のAngler Ogiです。
皆さまは、フィンガーピッキング(指弾き)について、どのようなイメージを持っておられますか??
独学でやろうとすると挫折する方が多いフィンガースタイル。
実際私も、はじめてフィンガーピッキングをやった時は全く出来ず、本当にニガテでした。 (苦笑)
しかし!
今回ご紹介する練習法を独自に身に着けてから、私にとってフィンガーピッキングは無くてはならない大好きなスタイルに変わりました。
今回は、私Ogiが普段レッスンで行っている、「フィンガーピッキング攻略法」についてご紹介したいと思います!
↓今回の記事はこんな内容になっています!↓
- ストロークに飽きちゃった!指弾きをやってみたい!という方に。
- スリーフィンガーピッキングの正しいフォームを詳しく解説!
- スリーフィンガーピッキングの練習方法も掲載。
- プロ講師である私が考える、フィンガーピッキングのコツをお伝えします!
〇そもそもフィンガーピッキングって?
ギターを始めて半年ほどが経過した生徒の皆様から、このようなお話をよく伺います。
フィンガーピッキングスタイルにチャレンジしたいのですが、なんだか難しそうで・・・。
何から始めればいいのでしょうか。
ストロークでの演奏が2~3曲出来るようになると、多くの方がフィンガースタイルに興味をもたれるのではないかと思います。
フィンガーピッキングとは、左手でコードを押さえた状態で、指(または爪)を使って弦を弾いていくギターの手法の事を言います。
欲しい音をピンポイントで鳴らす事が(ストローク時と比べて)比較的容易に行えるので、曲のイントロ等でよく使用されたり、フレーズとして構成されることも多いのが特徴です。
また、ストローク時に比べて音数が少なくなる為、静かな曲や、穏やかな曲の伴奏時にもよく利用されます。
・フィンガーピッキングは何が難しい?
音を1つずつ弾く事が多いフィンガーピッキングは、左手のコードがしっかり押さえられていないと、荒が目立つことになってしまいます。
初心者の方の場合、ストロークではなんとかなっていた部分(主にバーレコード)も、フィンガーピッキングの場合は一切ごまかすことができません。
そのため、まずはストロークでしっかりと丁寧なコード練習を積んでおく事が大事です。
場合によっては、バレーコードを全て省略コードで対処するのも一つの方法。
プロのアーティストも、長丁場のライブでよく利用しています。
また、最初のうちはどうしても弾く弦の順番を確かめてしまうため、
左手のコード確認+右手の確認を行い、かつ楽譜を見る
という作業を同時にやろうとして、つまずいてしまう事が多いわけですね!
さらに、右手でピッキングする際に力が入りすぎ、ベチーン!という音が鳴ってしまってうまくいかないという方も多いのではないでしょうか?
しかし、これらには全てきちんとした対処法が存在するので、慌てず一つずつ対処していきましょう。
・アルペジオ=フィンガーピッキング?
多くの方が勘違いしてしまうのが、
フィンガーピッキングってアルペジオですよね!出来ます!
ということ。
このように、アルペジオ=フィンガーピッキング、と思っておられる方も多いかもしれません。
しかし実際には、
コードの低い音から順に弾いていく奏法のこと。
低音→高音、低音→高音→低音というように、規則性がある。
指で弦を弾く奏法の総称。
弾く順番は特に決まっておらず、アルペジオも含まれる。
このように意味合いが違うのです!
それがいつの頃からか、順番がバラバラでも単音で弾いていればアルペジオ、と言われるようになってしまったんですね。
エレキギターのフレーズでも、低音→高音を1本ずつ弾くフレーズがあるならアルペジオになり、こちらはピックで弾くケースも多くあります。
そして、規則的に弾いていくという意味では、フィンガーピッキングにもざっくりとした規則は存在します。
この辺りは、出来る限りフレーズによって呼び方を使い分けましょう!
〇フィンガーピッキングのスタイル
フィンガーピッキングには、様々なスタイルがあります。
特にカントリー系のものは、演奏するジャンルや曲調によって名前がついている為、今回は除外。
ポップスでよく使うスタイルをご紹介します。
・3フィンガーピッキング
最もオーソドックスかつ演奏しやすい為に多くの方が使っているスタイルで、
- 親指
- 人さし指
- 中指
右手のこの3本の指を使用。
指の使い方が決まっている為、右手を見ずに演奏するなら圧倒的に弾きやすいのが、この3フィンガー。
この記事でもメインスタイルと考えています。
・4フィンガーピッキング
上記3フィンガーに、薬指を追加したのが4フィンガー。
使い時は、
- 音数が3つまでで足りないとき
- 16分音符が絡む速いフレーズ
- ベース音を弾いた後にコードを弾く(便宜上フィンガーバッキングと呼んだりする)
このようなケースで多用されます。
音数が多い=使う指が増えるため、最初のうちは避けた方が無難ですが、 ソロギタースタイルでは最初から4フィンガーでなければ演奏出来ないケースもしばしば。
そのため、上達のためには是非マスターを目指したいところです。
・2フィンガーピッキング
シンプルな曲調やクラシカルな曲調でよく利用されるパターンで、非常に奥が深いスタイルでもあり、親指と人さし指を使う事が多いです。
クラシックギターで多用されますが、「指の数が少ない分、シンプルで簡単なのでは?」と考えるのは危険!
使用する指が少ないという事は、1つの指で担当する弦の数が多いということ。
かなり難易度が高い為、実は3フィンガーの方が簡単だと言われています。
・押尾奏法
押尾コータロー氏は、ピックを使わず着け爪(スカルプチュア)を使って、手で演奏しています。
ノーマルなフィンガーピッキングスタイルで演奏する曲も多数ありますが、アップテンポ系の曲などは、様々なアーティストから取り入れたスタイルを独自にアレンジし、独特の奏法で演奏しています。
純粋なフィンガーピッキングからは離れてしまうため、今回は除外します。
・アポヤンドとアルアイレとは?
フィンガースタイルを研究していると、アポヤンドとアルアイレという言葉を耳にされる方も多いかと思います。
- アポヤンド
クラシックギターで多用。
弾いた弦に指を触れて振動を止めた後に次の弦にいく、というもので、メロディ向き。
ピアノの鍵盤をイメージすると解りやすい。 - アルアイレ
ポップスのメインパターンともいえるもので、コード感のあるバッキングに向いている。
弦を弾いた後、音を伸ばしっぱなしにしたまま次の音を弾くスタイル。
この2つは使い分けられるのが理想ですが、アルアイレの方が簡単なうえに伴奏向きなので、今回はアルアイレをメインに解説しています。
〇フィンガーピッキングを始める為の準備
早速練習!といきたいところですが、まずは準備から。
こちらで挙げる項目を先にクリアしておくと、進みやすくなります。
・曲中に登場するコードを全て覚える
まず、曲の中に出てくるコードは、全て「コードネームを見たら即押さえられる」状態まで持っていきましょう。
フィンガーピッキング時は、
- コードネームを確認し、左手で押さえる
- 次のコードを確認しつつ、左手をどう動かしていくかを考えておく
- 右手は弾く順番を考えつつ、リズムを刻む
このように、複数の事を同時に行っています。
そのため、コードネームを見てからコードフォームの見方をおさらいしていると、次に進むことが出来ません。
そこで、フィンガーピッキング系の曲を最初にトライする際は、
- バレーコードが少ない(もしくは省略できる)曲を選ぶ
- コードの数がそもそも少なめの曲を選ぶ
- カポタストを上手く利用する
- 1曲フルでやる事は考えず、イントロのみやサビのみ等で練習を積む
この3つがオススメの要素となります。
・バレーコードは省略フォームを利用する
バレーコードフォームは、押さえるのに時間がかかってしまったり、コードチェンジした際に音が鳴らない、といったことがおこりがち。
そのため、時に省略フォームを用いて、コードチェンジの流れをスムーズにしておきましょう。
コードの数が少なく、かつバレーコードが出てこない曲であれば、練習は一気に捗ります!!
・カポタストを利用する
コードチェンジをスムーズにするなら、そもそもバレーコードが出てこなければ、フィンガーピッキングは上手くいくことが多いです。
そこで登場するのがカポタスト。
カポタストを用いて、バレーコードの数が少ないキーC、G、Dに移調しておけば、非常に楽に演奏することが出来ます。
・フルコーラスではなく部分練習から
例えば、曲のイントロをフィンガーピッキングで弾き、後はストロークにしてみるなど、最初からフルコーラスでやる事を考えずに練習した方が挫折せずに楽しめます。
そもそも1曲全てがフィンガーピッキングという曲の方が珍しいですし(弾き語りライブ版くらいです)、
- イントロ&Aメロがフィンガー
- Bメロ&サビはストローク
このような形にすると、曲に立体感も出てオススメです。
・コードフォームのルート(ベース音)を把握する
コードというのは、例えばCであればド、Gであればソ、といった具合に、ベース音が決まっています。
このコードのベース音の事を、音楽用語でルート(根音)と言います。
そして、例えばEのルート音が6弦の開放弦なのですが、この場合Eなんちゃらというコードは全て6弦からスタートする、と考えればOKです!
↓ 【6弦から弾くコード達】 ↓
- E一族(E、Em、Em7、E7、Esus4等)
- G一族(G、Gm、Gm7、G7、Gsus4、G△7、Gadd9等)(G♯/A♭一族も)
- F一族(F、Fm、Fm7、F7、Fsus4等)(F♯/G♭一族も)
こんな感じですね。
省略コードはルート音が変わるので注意が必要ですが、基本的にE/F/Gのコード関連は、全て6弦からスタートしてみてください。
同じように、
↓【5弦から弾くコード達】↓
- C、A、Bの一族(メジャーコード、m、m7、△7、7th、sus4等)
- B♭とA♯、C♯とD♭、E♭とD♯一族も同じように
↓【4弦から弾くコード達】 ↓
- Dの一族(メジャーコード、m、m7、△7、7th、sus4等)
- Fの省略コード一族(メジャーコード、m、m7、△7、sus4等)
このようになります。
カポタストを付けていれば、♯や♭のコードは極端に少なくなるため、もし出てきた際は上の表を参照してみてくださいね。
★オンコード(分数コード)の対処法
譜面を見ていると、時にオンコード(分数コード)という物が登場します。↓
- C(onG)←シーオンジーと読む
- C/G←ジーぶんのシーと読む
これはどちらも同じ意味を表しており、Cがメインのコードで、onが付いている方(分母の方)がベース音となるのです。
この場合は、ベース音の方を弾き始めの音として捉えたいので、Gがベース音=6弦から弾き始める、というように解釈してみてくださいね。
〇やってみよう!フィンガーピッキング
この項目では、私Ogiがレッスンで皆さまにオススメしている、フィンガーピッキングの練習方法をご紹介!
早速見ていきましょう。
①右手のフォーム固め
フィンガーピッキングのキモともいえるのが、右手のフォーム。
フレーズによって2種類を使い分けます。
フォーム①
私が普段良く使っているフォームです。
小指をピックガード上に固定しており、弾く指は以下のように、どの指がどの弦を弾くか決まっているのが大きな特徴です。
- 親指・・・ベース音となる6、5、4弦を担当。
- 人さし指・・・ほぼ3弦固定。ごく稀に4弦、2弦のサポートにまわる。
- 中指・・・2、1弦を担当。
また、上から見た際に、親指が最も前(ヘッド寄り)の位置にいるのも大きな特徴です。
弾く弦の考え方がシンプルで、かつ機械的に弾きやすいため、初心者の方にオススメしたいフォームです。
フォーム②
フィンガーでリズミカルなバッキングをしたり、4フィンガー(指4本のスタイル)の際に利用するフォームです。
こちらも基本的には弾く弦が決まっていますが、フォーム①に比べるとやや流動的です。
- 親指
ベース音となる6、5、4弦を担当。 - 人さし指
コードによって担当弦を変える。5~2弦を狙う。 - 中指
こちらもコードによって担当弦が変わる。3~1弦を担当することが多い。
右腕をギターのボディに乗せるようにして固定し弾く弦を見ずに弾くのが理想ですが、最初はブレて安定しにくい為、フォーム①に比べるとやや難易度が高いフォームです。
こちらも上から見たときに、親指が一番前(ヘッド側)にあります。どちらのフォームにも共通しているのが、
このように、人・中・薬の3本がまっすぐ並んでいるということ。
こうすることにより、一番長い中指が弦に食い込んでバチーン!となることを防ぐことが出来る上、リズムも安定しやすくなります。
このフォームを作り、指先は弦の間に3ミリ程度しか入らない、というフォームを目指してみてくださいね。
②実際の弾き方
右手のフォームが固まったら、実際に弾いてみましょう。
右手で最も大事なことは、脱力。
力が入り、指が弦に食い込むような形になるのが一番良くないのです。
理想的な形としては、
- 親指
ほぼまっすぐの状態で弦に乗せた後、下に落とすだけ。 - 人・中指
指の関節を曲げたままセットしたら、そのまま真上に引き抜くだけ。
このような感じ。
最初のうちは右手を見ようとして手のひらが上を向き、結果、関節に弦を引っかけてしまうという事がよくおこります。
そこで、以下の2点を心がけてみてください。↓
- 手のひらは常にギターの方を向くように調整
- 右手の指の付け根の関節を動かし、指を真上(ギターの正面方向)に抜く
そもそもギターを弾くときは右腕が(弦に対して)やや斜めに入っているはずなので、真上に引き抜くだけで適度に指が弦に掛かり、きちんと音が鳴ります。
③弾く動きをルーティーン化する
基本的な弾き方は幾つかのパターンに分けられますが、今回は2つのパターン(単音パターン)をご紹介します!
パターン①
ポップスのコード進行に多い、1小節に1つのコードパターンに対応しやすい弾き方がこちら。
- 6弦ルートのコード・・・6,3,2,3,1,3,2,3の順番に弾く。
- 5弦ルートのコード・・・5,3,2,3,1,3,2,3の順番に弾く。
- 4弦ルートのコード・・・4,3,2,3,1,3,2,3の順番に弾く。
使う右手の指はそれぞれ、親、人、中、人、中、人、中、人となります。
このパターンは、最初の2音だけコードのルート音によって異なりますが、後のパターンは完全に一緒。
親指が最初に出てきた後は人・中指が交互と解りやすく、右手がきちんと固定されていれば、非常に弾きやすいのです。
また、どの弦からスタートする場合も右手の使う指は同じなので、最初の練習には最適です。
ちなみにリズムは全て8分音符になるため、実際に演奏すると
タン/タン/タン/タン/タン/タン/タン/タン/
という形になり、リズムも取りやすいはず!
このパターンを応用し、1小節に2つのコード(2拍ずつ)が出てきている場合は、2つのコードとも前半のパターン(6,3,2,3や4,3,2,3等)を用いることで、スムーズに曲がつながります。
例:1小節にCが2拍、Gが2拍の場合→C(5,4,2,3弦)→G(6,4,2,3弦)
パターン②
今度は少し難易度高め。
重音を弾くパターンをご紹介します。
- 6弦ルートのコード・・・6/4/3を同時→4→6/4/3を同時→4の順に弾く。
- 5弦ルートのコード・・・5/3/2を同時→4→5/3/2を同時→4の順番に弾く。
- 4弦ルートのコード・・・4/2/1を同時→3→4/2/1を同時→3の順番に弾く。
このパターンは、1小節にコードが2個ずつ(2拍ずつ)で展開していく際によく使われ、リズムは全て8分音符。
ポイントは4弦ルートの時で、4弦がベース音となるため、親指が4・3弦を担当、人さし指は2弦、中指は1弦となります。
このように弾く右手のパターンを固定した方が弾きやすく感じられるはず!
慣れてきたら、AメロやBメロはパターン①、サビはパターン②、という風にすると、曲が立体的になってきます!
・コードチェンジ時に保留出来る音を上手く利用する
コードチェンジが難しい、という方は、開放弦に注目してみましょう。
例えばGのコードの場合、上記のパターンであれば5弦を押さえる必要はなく、そうすると押さえているのは6・1弦だけになります。
つまり、4~2弦は開放弦となる為、ここを弾いている時は左手を押さえておく必要が無いのです!
この隙に左手を変えてしまえば、綺麗に音がつながるので、是非試してみてくださいね。
④譜面はメモを多用する
こちらは私が実際のレッスンで生徒様にお渡ししているメモ書きになります。
コードの押さえ方をダイアグラムで書いておき、さらに弾く弦の情報は赤文字で書いています。
また、「はなす」や「中から」など、指を動かす順番やコードチェンジのタイミングなどを書き込んでおくと、弾いている一瞬の間でも判断がしやすくなるので、とてもオススメです。
そもそも演奏している最中というのは、思考が0,1秒「ん??」となっただけで演奏が止まってしまう世界。
ヒトが一瞬で覚えられる単語や数字はせいぜい3つ程度なので、
「G!6弦、中から!」
この様に、シンプルな指令を脳に送ってやれば、確実に対応できるようになります!
⑤応用方法を覚える
例えば、C△7とCのコードは、2弦1フレットの音しか違いが無く(ドかシになる)、働きも同じです。
そこで、Cの2弦を弾く際に左手の人差し指を離しておき、右手をピッキングしてから、左手の人さし指でハンマリング(指で弦を叩く)をしてみてください。
こういった形で、本来押さえるべきだった指を離しておいて、後からハンマリングで音を追加という手法をとるのが、オススメの応用方法となります。
ただ、こういうフレーズはリズムが狂いやすいため、基本のリズムがしっかり出来上がってからトライしてみてくださいね。
〇最後に
いかがでしたでしょうか。
私Ogiなりに、フィンガーピッキングについてのコツや練習法などを纏めてみました。
最初は難しくても、慣れてくれば確実にできるようになりますので、是非頑張って練習してみてくださいね!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
↓バレーコードを省略したい方は!↓
↓カポタストをマスターしたい方にはこちらがオススメ!↓
コメント