フィールドで野生の水草を採集!狙いの種は見つかるのか?

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こんにちは、先日からメダカ飼育を始めたAngler Ogiです。

7月の半ばから何度かフィールドに出て、メダカ水槽にマッチしそうな水草を探してきましたので、今回はその様子を詳しく書いていこうと思います!

前回の記事をまだ読んでないよ!という方はこちらからどうぞ

水草採集1回目、カヅノゴケ採取

7月5日に水槽を立ち上げ、7月6日の渓流釣りの後に田んぼ脇の水路に立ち寄り、カヅノゴケを採集。

元々は水路にどんな水草が生えているか、ちょっと覗いてみる程度の気持ちで立ち寄って発見。

ショップ等ではリシアという名前で売られているウキゴケの一種で、現在日本では結構な貴重種扱いとなっており、偶然見つけられたのはラッキーと言えそうです。

全て取り切ってしまわないよう二塊ほど拝借してきたのですが、このカヅノゴケの塊の中には20匹を超えるプラナリアや、数匹のヒルの子供が潜んでいました。

何度も水道水を取り換えつつ丁寧にほぐすことで、水槽に導入できる状態になったのですが、そのまま水槽に投入するとバラけて大変な事になります。

そこでこの段階では、河原で拾った石に乗せて排水溝ネットを被せ、

この状態で導入することに。

後に配置の関係でこの石を出す事になったので、現在は流木に巻き付けた状態に変更しています。

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水草採集2回目、ミズユキノシタやウリカワ等

翌日、マツモとウリカワを求めて、姫路市の北の方にある野池群へ。

目的のマツモこそ見当たりませんでしたが、池でタヌキモの仲間とミズユキノシタ、田圃脇でウリカワを多数発見!

こちらもプラケースに投入して水道水でよく洗い、水槽へと導入。

抱卵しているヌマエビが乗っている水草がウリカワ、奥や右上に見えているのがタヌキモです。

が、このタヌキモ、実は食虫植物

導入段階ではそれほど気にしていなかったのですが、タヌキモはミジンコ等の動物プランクトンを捕獲して食べてしまうため、仮にメダカの稚魚や稚エビが生まれた場合に危険と判断。

さらに、数日であっという間に水槽を覆うほど増えてしまった為、やむなく撤去することになりました。(苦笑)

ちなみに、池ではこのようにゴミに混ざって漂うような形で発見できます。
姫路市北部の池だけでなく、加西市の野池でもあちこちで見つかりました。

ウリカワ(流通名:サジタリア)は、近所の田んぼの縁でも普通に発見できるほど、どこにでもある水草という印象。

大規模な田んぼ群は農薬をより多く使うせいなのか、街中にポコっと存在する小さな田んぼに多い様に見受けられました。

水田雑草として扱われるウリカワは農薬が付着している可能性がある為、導入時に注意が必要です。

ミズユキノシタ(流通名:ルドウィジア・オバリス)は、姫路市内ではどこでもよく見かける水草で、

この日訪れた場所とは違う場所。

池ではこのように水没して群生していたり、湿地化した池の脇に群生していたりするので、最も簡単に発見できる水草かもしれません。

こちらは群生している所から間引くように数本採取します。

これらの水草を水槽内に植えて、

まだまだ発展途上。

7月7日の時点で一旦このようになりました。

この段階で2頭のヌマエビが抱卵、メダカも2度ほど卵を下げている姿を確認したものの、メダカの産卵場所となる水草が少ないため、さらに採集を続けることに。

水草採集3回目、ミズオオバコやセキショウモ等

7月12日、どうしてもセンタープランツとしてミズオオバコ、背景にセキショウモ、前景にマツバイが欲しくなり、仕事前に加西市方面へ。

加西市は灌漑用のため池が多数あり、その中には普段私がトンボ観察の定点として訪れる、水質の良い池が多数あります。

まず最初に訪れた池は、水量がかなり減っている為に池の底の一部が露出。
その露出している部分に、多数の水草が生えています!

まず最初に発見したのは、

こちら。

パっと見の見た目がハイグロフィラ・ロザエに似ている印象でしたが、正体はチョウジタデという比較的ポピュラーな水田雑草のよう。

現地で調べた時はオギノツメなのかチョウジタデなのか判別できなかったのですが、オギノツメは葉が対生するようなので、おそらくチョウジタデだと思われます。

しかもハイグロフィラの仲間でなく、この見た目でルドウィジアの仲間との事・・・やはり水草は難しいですね。

この場所はいつも水没している場所の為、おそらく水槽内でもある程度育成できると考え、間引くように数本採取しました。

ちなみに、

見事に葉が対生。

後日田んぼで見かけた、こちらがオギノツメだと思われます。
このオギノツメは水没育成が出来ないようなので、採取は見送り。

さて、先ほどご紹介したチョウジタデの周りには、ミズハコベかミゾハコベと思しき植物と、

マツバイ(流通名:ヘアーグラス、一塊採取)らしき水草に・・・この大きめのマツバイのような水草は何なのでしょうか・・・。(苦笑)

なんか水菜みたい。(笑)

最初はヤナギスブタ(流通名ブリクサ・ジャポニカ)か何かかと思ったのですが、スブタの仲間は沈水性。

この水草は一部水面に飛び出すように生育し、水中葉らしき物と水上葉らしき物が見受けられました。
結局同定できなかったため、おそらく水草と思いつつも元の場所に植え戻しておくことに。(苦笑)

時期を変えて確認しに来ようと思います。

この池は他に目ぼしい水草が見当たらなかったのですが、帰りに水路を除くとヒルムシロっぽい形の水草が水中で漂っていたので、こちらも数本採取、後にホソバミズヒキモである事が判りました。

沈水状態でも結構育つようなので、しばらく育成してみようと思います。

移動した先で目的の水草が!

次の池に移動する最中、田園地帯の中に良い雰囲気の休耕田を発見!

近づいてみると、あちこち水が溜まっていたので、水草が生えていないかと見て回ると・・・

バコパのような形状の植物を発見!

この植物、水が深く溜まっている場所にしか生えていなかったので、水中で育てられると判断。
かなり細く繊細な雰囲気でしたが、試しに数本採取して育ててみることにしました。

・・・あちこち調べまわったのに結局同定できず、まだ名前は判らず終いですが。(苦笑)

この場はこれで後にし、私がアカネ属のトンボを観察する際にいつも立ち寄る池へ。

管理されている池で水質は良好のため、期待して覗いてみると…いい感じに水量が少なくなっています。

これは期待できると思い、水路付近の流れがある場所を覗いてみると・・・!

底一面に広がる水草を発見!この場所は常時水があるため、沈水植物で間違いありません。

スブタの仲間か、はたまたセキショウモ(流通名:バリスネリア)の仲間かと、土埃を払ってみると・・・

大きさは小さいながらも、あちこちにランナー(匍匐茎)が伸びている様子が確認できました!

根っこにトゲがあれば近縁種のコウガイモのようですが、トゲも無かったので、どうやら目的のセキショウモで間違いなさそう。

間引くように数株採集し、ランナーとして付いてきた幼株は再度植え戻しておきます。

Ogi
Ogi

セキショウモと言えば葉の長さが30㎝を超すイメージだったものの、こちらは殆どが10センチ未満の株ばかりで、初めはスブタかと思いました。
しかし、スブタはランナーを出さないようなので、セキショウモで確定です。

さらにはこのすぐ傍にミズオオバコも多数生えており(写真撮り忘れ!泣)、目的の種を同時に2種ゲットすることに成功!!

そして、

こちらはおそらくホシクサと思しき植物。
花が咲いていない為確証はありませんが、見た目的にそんな感じがします。

昔熱帯魚を飼育していた際に導入で失敗した覚えがありますが、一応数株採取することにしました。

さらにぐるっと周囲を見回ると、同定が出来ない種もいくつかあり、その中でも・・・

大量に繁茂したこちらの種は結局何か判らず仕舞い。

葉を見るとヒルムシロ科に見えますが、そもそもこの場所は水没したり陸地になったりする場所なので、水上葉なのか水中葉なのかすら判別が出来ません。

さらにはこの植物の間にミズマツバなのかミズハコベの水中葉なのか判らないものも見受けられたのですが、とりあえずなんだかよく判らない種は採集しない事にしました。

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水草採集4回目、アナカリスやミズハコベ等

7月20日、多数の水草を導入したにもかかわらず、

抱卵状態のメダカ。

うちのメダカは何故かフィルターのストレーナースポンジにばかり産卵して大変なので、産卵水草としてアナカリスかクロモを導入することに。

アナカリスと言えば、和名はオオカナダモ。
別名メダカ草や金魚草とも言われるほどポピュラーな種です。

割とどこにでもある水草ですが、折角なので状態が良いものが欲しいと思い、また加西市の池へ。

この池には大量のオオカナダモと思しき水草が繁茂している為、イトトンボが産卵できなさそうな深い場所にある状態の良い部分を数本拝借。

成長が圧倒的に早いため、すぐに水槽を埋め尽くしてしまう危険性もありますが、きちんと育成すれば結構綺麗な水草です。

その他、

山中にある湿地の水溜まりでは、

こちらにもホシクサと思しき水草が。
また、ミズユキノシタも確認できました。

次に、

7月12日に立ち寄った池の流れ込み部(岩盤の隙間から自生)で確認していた、こちらも数本水槽に導入してみることにしました。

7月12日はミズマツバの水上葉か?と思って見送っていたのですが、帰宅後調べてみたところ、どうもこれはミズハコベのよう。

ミズハコベは環境によって大きく姿が変わるようで、その葉の形のバリエーションはなんと・・・!

  • 沈水葉、浮葉、気中葉、さらにそれぞれ中間の形が存在
  • 葉の形は線形~被針形~広倒卵形まで様々
  • 葉の大きさも数ミリ~2.5㎝と範囲が広い

このように、あまりに様々すぎて同定が超・大変です。

今回は、ミズハコベの大きな特徴である「葉が対生しており、茎が地表を這うように分枝、節から発根」という特徴からミズハコベだと判断して、水槽導入を決定しました。

同定の際、こちらのサイト様を参考にさせて頂きました。(外部サイトへ飛びます)↓

この他、ぶらっと立ち寄った水田脇の水路でミゾハコベを採集し、その後立ち寄った池では・・・

こちらの種を発見。

発見した直後はキカシグサの水上葉が水没したんだと思って採取、水槽に導入しましたが、5日ほどで最上部の葉を残して溶けてしまった為、違う種だったと思われます。(苦笑)

やっぱり水草の同定は難しい・・・。

後日、

マツバイもめっちゃあるやん・・・。

うちの近所の休耕田(というか湿地?)で、これぞキカシグサ!という物を見つけたので、また採集しに行く予定です。

採集した水草たちは、

プラケースに入れて持ち歩きつつ、帰宅時にパッキング。

この状態で持ち帰る。

後は自宅に帰り、水草のトリートメントを行って、導入するだけです。

「A池の水や水草をB池で捨てる」といった行為は、絶対に止めましょう!
その場所の生態系が崩れてしまう危険性があります。
また、長靴に付着した水草や泥にも注意を払いましょう。

私はポイントを出るとき、そのポイントの水場でしっかりと泥や植物の根・茎を落とし、直射日光で軽く干してから移動しています。

水草導入後、判ったこと

左上のペットボトルは針子育成中。

こちらが、7月20日時点での水槽。
現在の水槽環境はこんな感じ。↓

  • 生体はメダカ9匹、ヌマエビ10匹
  • CO2添加無し、液肥等肥料無し
  • 底砂=川で採集した砂利
  • ライト=エコリオアームカラー(120lm)

この環境下で、植えている(植えた)水草は14種。

通常水草を美しく育てる為にはCO2添加や肥料などが欠かせません。
そして野外で採集した水草は常時太陽光を浴びている為、かなりの光量が必要となります。

今回育成に取り組む水草の中にはきちんとした環境でなければ育たない種もいるので、今後この「水草向きとは言えない環境」でどの程度成長するのか、観察してみようと思います。

以下に14種を植えてからどのようになったか記載しますので、国産水草を採集し、手軽に育てたい!と思っておられる方の参考になれば・・・!

順調な水草は7種

  • オオカナダモ→成長が飛びぬけて速い
  • ホソバミズヒキモ→成長が早い
  • ミズオオバコ→予想外に大きく成長中
  • チョウジタデ→8割が順調に成長
  • ミゾハコベ→ゆっくり成長
  • セキショウモ→ゆっくり成長中
  • ミズハコベ→一部溶けたものの、かなり伸長

最初から水中葉(沈水葉)だったオオカナダモやセキショウモは比較的丈夫な種という事もあり、予想通り順調に生育。

また、ホソバミズヒキモは浮葉と沈水葉という形態だからか、特に問題なし。

7月25日の様子。正直トリミングが大変。

ミズハコベは水上葉だったので気になっていましたが、成長速度が速くかなり大きくなっています。
しかし、一部葉が黒く変色して溶け始めている為、今後が気になるところ。

ミゾハコベの成長は遅めですが、しっかり根を伸展しています。

7月25日の様子。ミゾハコベとミズハコベ。

驚いたのがミズオオバコで、通常は高光量・肥料添加等が必要だと思われますが、何の問題も無く(1株も枯れることなく)大きく成長しています。

チョウジタデは一部葉が落ちてしまった株もありましたが、大半はしっかりと根付き、グングン成長中。

こちらは沈水植物ではない為、どれくらい育成できるのか気になる所です。

なんとか成長中の種は3種

  • ミズユキノシタ→水上葉は育成失敗、水中葉タイプはなんとか一部生き残る
  • カヅノゴケ→流木に移植後、エビの食害で随分減った
  • バコパっぽい種→一部溶けつつも成長中

ミズユキノシタは水槽に適応できる株とそうでない株がいるようで、溶けてしまう物も多くありました。

特に水上葉の物は光量不足のせいか色が変色し、すぐに溶けてしまった為、育成するなら状態の良い水中葉の物を導入する方が良さそうです。

カヅノゴケは流木に移植するまでは順調だったのですが、移植後は一部枯れた場所からエビが食べてしまい、現在は1/4程まで減ってしまいました。

バコパっぽい水上葉の種は、新芽も出つつよく伸長していますが、元の水上葉にあたる部分が変色している為、今後枯れてしまうかもしれません。

ミズユキノシタが枯れた原因はミズメイガだった(追記:8月3日)

ミズユキノシタが大量に枯れた原因ですが、光量不足などではなく、食害によるものでした。

定期的に葉に穴が開き、そこから溶けて葉が水面に浮いていたため、単に光量不足で溶けていただけかと思っていたのですが、よくよく葉を見てみると・・・なんと二枚合わせになっている物が。

さらに光を当てると、中にイモムシ状の物が動いているのが見えます!

葉の左側に透けて見える。今回はチョウジタデが被害にあった。

この写真の後、モソモソ出てきたイモムシ(画像は自粛)の正体はミズメイガ。
蛾の仲間では珍しく沈水性の水草を食害する種です。

今回導入した水草たちは全て天然の物であるため、こういった種に食害を受けたり、スネールやヤゴを水槽に導入してしまうリスクを常に背負っています。

今回は見つけた限りで6匹のミズメイガの侵入を許していた他(全て駆除済み)、ちょくちょくスネールの稚貝も散見されます。

私の場合はこれも含めて息子へ生物の多様性を伝える教材としたいので問題はありませんが、はっきりいって気持ちの良いものではありません。(苦笑)

せっかく採集して植えた水草もどんどん食べられてしまうため、発見したら即駆除していきましょう。

Ogi
Ogi

水草から顔を出してクネクネ動くさまが非常にコミカルで、息子も嫁さんも何故か爆笑しながら大喜びでしたが(苦笑)、水草の為にも駆除しましょう!

育成失敗の4種

  • ウリカワ→移送の影響か、1株を残して溶け、エビの食害にあう
  • マツバイ→溶けた所からエビの食害にあい全滅
  • ホシクサ→二週間で全滅
  • キカシグサだと思っていた種→二週間で全滅

ウリカワは丈夫な種のはずでしたが、よくよく考えれば、流通しているサジタリアは移植や根に傷が入ることに弱い種。

その仲間であるせいか、短期間で2度目の移植後に溶け始め、今では1株しか残らないという状況に。

マツバイとホシクサは予想していたものの、やはりまったく育つことなく溶け始め、あっという間に全滅。

この二種は流通しているヘアーグラスのように、高光量・CO2や肥料添加、さらにはソイル系底砂でないと育たないイメージです。

キカシグサだと思っていた種はそもそも水草ではなかったのか、1枚ずつ葉が落ちていき、最終的には木の枝のようになってしまいました。

この辺りはトライ&エラー、とりあえず導入してみて様子見という作業が必要ですね・・・。

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纏め

複数回水草採集を行った結果、当初導入したいと思っていた水草は全てフィールドで発見し、導入することが出来ました。

特に近年貴重種となっているミズオオバコとセキショウモを同じ池で発見できたのは驚きましたし、なによりフィールドで宝探しをしているようで楽しいものです。

しかし、水田雑草として扱われる種は比較的簡単に同定出来たものの、やはり水草の同定は簡単ではありません。

また、「手抜き環境でどこまで育成できるか」というテーマのもと水槽に導入してみましたが、やはりきちんと育成するために、せめて肥料や高光量が欲しくなってきているのも事実。

まだ現状の水槽に満足していないので、また水草採集に行ってきます!

流木も拾って導入しました↓

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